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トヨタマシリーズ【ガンナー】 特徴 基本性能 費用 防御力 火耐性 水耐性 雷耐性 氷耐性 龍耐性 装備一箇所 16400z 35 -3 4 1 5 0 装備全箇所 82000z 175 -15 20 5 25 0 最終強化全箇所 z Lv 防具強化 防具強化 Lv 防御力 強化素材 費用 z 生産素材 部位 名称 スキル系統 スロット 生産素材 頭 トヨタマ【鳥帽子】 聴覚保護+5 装填数+1 風圧+4 耐暑-2 O-- 霞龍の上皮*3 霞龍の宝玉*1 古龍の血*2 胴 トヨタマ【胸当て】 属性解放+2 聴覚保護+1 風圧+4 耐暑-2 O-- 霞龍の上皮*2 霞龍の尻尾*1 獄炎石*2 腕 トヨタマ【大袖】 聴覚保護+2 装填数+1 風圧+4 耐暑-2 OO- 霞龍の上皮*3 アルビノの霜降り*1 古龍骨*6 希望の証*2 腰 トヨタマ【丸帯】 属性解放+2 聴覚保護+1 風圧+4 耐暑-3 O-- 霞龍の上皮*2 霞龍の尻尾*1 ノヴァクリスタル*1 脚 トヨタマ【具足】 聴覚保護+3 風圧+4 耐暑-1 OO- 霞龍の上皮*2 真珠色の柔皮*2 ユニオン鉱石*5 希望の証*1 スロット数合計/必要素材合計 7 霞龍の上皮*12霞龍の尻尾*2霞龍の宝玉*1真珠色の柔皮*2アルビノの霜降り*1古龍の血*2古龍骨*6獄炎石*2ノヴァクリスタル*1ユニオン鉱石*5希望の証*3 発動スキル スキル系統 頭 胴 腕 腰 脚 計 発動するスキル あと少しで発動しそうなスキル 聴覚保護 +5 +1 +2 +1 +3 +12 耳栓 高級耳栓 風圧 +4 +4 +4 +4 +4 +20 風圧【大】無効 耐暑 -2 -2 -2 -3 -1 -10 暑さ倍加 装填数 +1 +1 +2 属性解放 +2 +2 +4 ※あと少しで発動しそうなスキルとは±4ポイント以内で発生するスキルのことです。
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番外編 『お姉さん襲来! 嵐を呼ぶ妹争奪戦!』 日本から見て海外のとある大学の一室、生徒会室で、 真剣な表情で書類の束とにらめっこしている紫色の髪の女生徒がいた。 「阿重霞(あえか)さま、お茶が入りました」 「あら、気を使ってくれずとも構いませんのに。でもありがとう」 紫髪の女生徒は気難しい顔から一転、ニコリと笑うと、部下が運んできたお茶を受け取った。 彼女の名は萌田阿重霞。 留学生の身で、ここサンダーフェニックス大学の生徒会長を勤める才女である。 容姿端麗、頭脳明晰、文武両道、おまけに礼儀正しく人当たりも良いという、 およそ思いつく限りの無敵要素をぶちこんだ究極超人の彼女だが、 たった一つだけ……読者から見れば萌え要素なのかもしれないが、 実際に巻き込まれる関係者にしてみれば迷惑極まりない欠点があった。 それは……。 その時、小さな封筒を持った男子生徒が生徒会室に入ってくる。 「会長、妹さんから手紙が届いてますよ」 ドビシャァ! 書類の束が空中に舞い上がった音である。 男子生徒が何が起こったかを理解するより前に、 手紙は彼の手から抜き取られて会長の手に渡っていた。 「砂沙美~、貴方は本当に姉想いの優しい子ですわぁ! 貴方が頻繁に手紙を送ってくれるから、 阿重霞お姉ちゃまは海の向こうで一人寂しくても、頑張ることができるの!」 手紙にチュッチュとキスを繰り返す阿重霞の脇で、書類の束が散らばって地面に落ちた。 仕事の量が一瞬にして倍増したようだ。 ――そう、阿重霞は末期のシスコンだったのである。 「さてさて、早速中身を読んでお返事書かないといけませんわねぇ」 るんるん気分で鼻歌を歌いながら封を空け、手紙を読み始める阿重霞。 ……が、同封されていた一枚の写真を見て、阿重霞は石化する。 そこには照れ笑いをしながら頭をかく青年と、 そのわき腹に抱きついて頬を染める青髪の少女が写っていた。 『――というわけで、砂沙美はめでたく天地兄ちゃんと恋人になれました! 砂沙美のことはいつも天地兄ちゃんが守ってくれるから、阿重霞お姉ちゃんは心配しないでね!』 (そ、そんな……わたくしの可愛い砂沙美と、天地さまが……?) 阿重霞はぷるぷる震えながら手紙と写真を見つめて居たが、 突如として立ち上がり、机を叩く。 「……ユリ、ユマ! わたくしは今すぐ日本に飛ぶわ! サンダーフェニックス1号の発進準備をなさいっ!!」 「はっ!」 阿重霞の側近は指示を受けると、どこかに連絡を飛ばす。 「お待ち下さい会長、生徒会の公務はまだ終わってません! それにTF号は我らが生徒会の秘密兵器、安々と使うわけには……!」 「黙りなさい!! わたくしは生徒会長ですのよ!!」 普段の人当たりのいい性格もどこへやら、 目の吊り上がった阿重霞はすっかり暴君と化している。 「阿重霞さま、発射準備完了です!」 「うむ!」 頷いた阿重霞が生徒会長の椅子に座ると、床が抜け、 阿重霞の身体は椅子ごとTF号の内部に運ばれる。 「阿重霞さまご搭乗! いつでも発射OKです!」 大学のグラウンドが割れ、そこからロケットのような形状のジェット機が現れる。 これぞサンダーフェニックス1号! 地球上の何処へでも1時間以内に駆けつけることの出来る生徒会の秘密兵器である。 「さぁ、発進よ! 目標は日本、海の星町!!」 散らばった書類と溜まった仕事の数々を振り返らず、阿重霞を乗せたジェット機は発射された。 1.サンダーフェニックス 青く可愛い妹の下へ 行け!風を巻いて サンダーフェニックス あの妹のしあわせのために 行け!日本に海外に 愛する妹を泣かせる者は誰か 呼んでいるあの声はSOSだ サンダーフェニックス 青く可愛い妹の下へ 行け!風を巻いて (認めません……砂沙美と天地さまのお付き合いなんて……。 天とお母様が許しても、このわたくしが絶対に許しませんわ!) 強烈なGに晒されながら、一方通行な決意を固める阿重霞であった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 場面は変わって、こちらは海の星町である。 今日もデートの真っ最中である砂沙美と天地は、 二人並んで川原の草むらに仰向けになって、空を眺めている。 「はぁー……いい天気だなぁ、砂沙美ちゃん」 「うんー……いい天気だねぇ、天地兄ちゃん」 (天地兄ちゃんと一緒だと、空を眺めているだけで幸せな気分になってくるよぉ……) こうしてほんわかした気持ちで寝っ転がっていると、 なんだか世界に存在する全てのものが愛おしく感じられてくる。 (それにしてもすがすがしいぐらいのいい天気だなぁ……。 太陽はさんさんと輝いてるし……。雲はゆったりと流れて行ってるし……。 巨大なジェット機は飛行機雲を作りながらこっちに突っ込んでくるし……) 「……って、どげげぇっ!!?」 「危ない、砂沙美ちゃん!!」 咄嗟に天地が砂沙美を庇う。 轟音を立てて飛来した謎のジェット機は、 二人から僅かに逸れて川原に突き刺さり、激しい土煙を上げる。 「……けほっ……あー、死ぬかと思いましたわ」 土塗れになった顔を拭いながらジェット機から現れたのは……。 「お、お姉ちゃん!? 阿重霞お姉ちゃんなの!?」 「さっ……砂沙美ーーー!!!」 「ぐぇぇ!」 阿重霞は砂沙美の姿を確認すると、音速で彼女に抱きついた。 圧迫された砂沙美は、潰れたカエルのような声を上げてしまう。 「会いたかったわ、こんなに大きくなってー!!」 「く、苦しいよお姉ちゃん!」 「あら、ごめんあそばせ」 阿重霞は、おほほと誤魔化し笑いをして砂沙美を解放する。 「でも、どうして急に帰ってきたの? 先に連絡しておいてくれれば、晩御飯の用意しておいたのに」 「それは……そうでしたわ!」 本来の目的を思いだした阿重霞は、脇で唖然としている天地に向き直り、 腰に片手を当てて居丈高なポーズを取ると、人差し指をビシリと突き立てた。 「天地さま、わたくしは貴方と砂沙美の交際は認めません!! 今ここで砂沙美と別れるか、もしくは岡山の土になるかを選んで頂きます!!」 「えええええっ!!?」 「ちょ、ちょっとお姉ちゃん、何を言い出すの!」 「さぁ、答えてください!!」 突然のことに動転する天地に、阿重霞は容赦なく詰め寄る。 「い、いきなりそんなこと言われましても……」 「て、天地兄ちゃんは砂沙美の恋人だよっ!」 「砂沙美ちゃん……」 砂沙美に絶対に離さないと言わんばかりに抱きつかれ、天地も覚悟を決める。 「そ、そうです! 俺は砂沙美ちゃんと別れる気なんてありませんっ!」 「……そう……あくまで交際を続けるとおっしゃるのね……」 二人に背を向け、口元に手を当てながら物憂げに歩き去っていく阿重霞だが……。 次の瞬間、側近から投げ渡された襟付き黒マントをぶわぁっと羽織り、二人に振り返る。 「どうしても砂沙美とお付き合いしたいと言うのなら……このわたくしを倒してからになさい!!」 両手を腰に当てて仁王立ちでそう宣言する阿重霞。 黒マントと相まって、放たれる気迫はまるで魔王か何かのようだ。 場が一瞬にして危険な空気に包まれたことに気付いた天地は、慌てて弁解を始める。 「あ、阿重霞さん、落ち着いてくださいよ! 俺は、別にそんな――」 「にょっほっほー、面白そうなことやってるわねぃ!」 「!? 誰ですっ!?」 土手の上から投げかけられた甲高い闖入者の声に、 阿重霞が真っ先に反応し、砂沙美たちもそれに続く。 一触即発の空気を持ち前のKYさでぶち破ったのは、もちろん……。 「ミ、ミサ!? 何しに来たのよ!!」 トラブルの匂いを目ざとく嗅ぎ付けた、漆黒の金髪魔法少女だった。 「決まってるでしょう、痛快トラブルあるところに必ずピクシィミサの姿あり! あたーしも飛び入りで砂沙美ちゅわん争奪バトルに参加させてもらっちゃうわよー!」 「何が争奪バトルよ、今は立て込んでるんだから邪魔しないでよ!」 「ドントウォーリー、砂沙美ちゅわんはミサがガッチリバッチリ守って見せるわよぉん」 「き、気色悪いこと言わないでっ!」 口喧嘩を始めてしまった二人の少女を他所に、 ミサと天地を見比べていた阿重霞は、あることを思いつく。 「……よろしい、ではこうしましょう」 阿重霞の瞳の奥が、きらりと光った。 阿重霞に引き連れられ、一行は海の星中学校の校庭へとやって来ていた。 「さて、ここならスペースも十分ですわね」 そう言って、阿重霞は校庭を見渡す。 校舎や校門の辺りには野次馬による人垣が出来ている。 阿重霞は改めて咳払いをすると、口を開く。 「どなたが砂沙美を手に入れるかは、競技大会で決めることに致します」 「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!」 「そ、そんな……何のためにこんなことをするんです!」 「イヤッホーーー!! ミサはこういうのを待ってたのよーーー!!」 困惑する二人と、一人歓喜する魔法少女。 「参加者はあたくし、天地さま、そしてそこの金髪少女の三人でよろしくて? 他にエントリーしたい方はいらっしゃるかしら?」 阿重霞はぐるっとギャラリーを睨みつけるが、 彼女の眼光に臆したか、名乗りを上げるものは一人も居ない。 「……決まりね、それでは競技の準備に入りましょう。……ユリ、ユマ!」 「はっ!」 阿重霞の一声で行動を開始した部下二人は、 校庭に線を引き、特設テントを建て、カメラまで用意し、 あっという間に海の星中学校を競技会場に変えてしまった。 最初の競技は100m走だ。 ばっとマントを脱ぎ捨てると同時に、 阿重霞の格好は愛用の拳法着を纏った戦闘スタイルへと変わる。 「阿重霞さん……本当にやるんですか?」 「お嫌でしたら棄権して頂いて結構ですのよ。 所詮、貴方様の砂沙美への愛はその程度ってことですから」 流石にムッとした天地は、何も言い返さずにスタートラインに着く。 「ふふん、それでこそ砂沙美ちゃんのラバーよねぇ」 ミサも気取ったポーズで髪を撫で上げながらも、既に準備OKだ。 『位置について……よぉーい……!』 パァン! 空砲の音と共に、三人は一斉にスタートラインから飛び出す。 最初の50mほどは必死に走る天地が先頭に位置していたが、 カーブに差し掛かった辺りで阿重霞が急加速、 僅かに及ばず、天地の目の前でゴールテープは阿重霞によって切られてしまった。 『一着、萌田阿重霞さん。二着、征木天地さん』 ちなみにアナウンスを担当しているのは通りすがりの海の星放送部員である。 「なかなかやりますわね、天地さま。でもわたくしの勝ちですわ」 「くそっ、次の種目で挽回して見せます!」 「天地さん、頑張ってー!!」 少し感心したような目で天地を見る阿重霞と、悔しそうに地面を叩く天地。 そして設置された表彰台の上のVIP席から声援を送る砂沙美。 「あ……あたーしを忘れないでぇ……」 そんな三人に意も介されず、ミサは酸欠でコース上に倒れているのであった。 その後も、幅跳び・高飛び・砲丸投げ等々、様々な競技が行われたが、 結果はことごとく阿重霞が堂々の首位、そしてミサはダントツのビリケツであった。 「さーて、次が最後の競技ですわね、天地さま」 「くっ……お、俺は負けません!」 「天地さーん、負けないでー!!」 既に阿重霞の総合優勝は確定しているが、 それでも天地は諦めず、砂沙美も力の限り応援を続ける。 『それでは、これより最後の競技を――ふっふっふ……お遊びはこの辺でジ・エンドよん!』 「えっ!?」 突然、スピーカーから放送される声色が変わった。 見ると、そこにはアナウンスを担当していた放送部員を足蹴にして 特設テントの放送席をジャックしたミサの姿があった。 「……ピクシィミサさん、どういうおつもりかしら?」 阿重霞は眉をひそめ……しかし動じた様子もなく、静かにミサに問う。 『こーんなロートルな肉体勝負なんて、フレッシュな魔法少女にはふさわしくないのよー! これからはミサ流のオンステージでドッカンドッカン行かせてもらっちゃうわー!』 ミサは振り回したマイクをバトンに変化させると、 空砲を構えて競技の開始を待っているボランティアの先生に向けて魔力を放つ! 「コーリング・ミスティクス!! ガンマン女!!」 実銃を撃ってみてー、という悪意と呼ぶにはささやかな願望が実体化され、 ウェスタンハットにくたびれたジャケットを羽織う、西部風のラブラブモンスターが現れる。 その肩には背負った棺桶には、ありとあらゆる火器が詰まっているのだ。 「ミサは泥棒さんの時にスタディしたのよ! ピストルは魔法より強いってね!」 「魔法少女自ら、魔法の存在価値を全否定っ!?」 「ミサはいつでもストローングな物だけの味方よ! それは魔法も例外じゃないわ! さぁガンマン女! 文明の利器であのシスコンシスターを蜂の巣にしちゃいなさい!」 ミサの指示を受け、ガンマン女がガトリング砲を担ぎ出す。 ギャラリーが密集してる中であんなものを撃たれたら辺りは大惨事だ! 「……そちらがそういうおつもりでしたら、こちらも容赦はしませんわよ」 「ほえ?」 阿重霞がパチンと指を鳴らすと……。 ゴゥゥゥーーーーーーン!! ほどなくして、轟音と共に一機の戦闘機が上空に現れた。 「こちらユマ! 攻撃目標確認、撃滅します!」 阿重霞のトランシーバーにそう通信が入った次の瞬間……。 ドガァァァァァーーーーーーーン!!! 放たれた誘導ミサイル―――サイドワインダーによって、ガンマン女は跡形も無く吹き飛んだ。 ……と思いきや、元となった先生は黒こげで出てまいりましたので皆さんご安心を。 動転してしまったのはミサである。 絶対の自信を持ったラブラブモンスターが、まさか一般人に倒されるとは……! 「さっ、砂沙美ちゃん!? ママりんと言い、アンタのファミリーは一体何者なのっ!?」 そう言って表彰台を振り返るミサだが……。 「……あれ? 砂沙美ちゃんわぁ?」 キョロキョロと辺りを見回してみるが、やはり見当たらない。 しかし直にそれどころでは無いことに気づく。 ミサの背中に阿重霞の殺気が突き刺さっているのである。 「……モ、モダンウェポンなんてやっぱり野蛮でダメね! 次こそ魔法の力で思い知らせてやるからリメンバーしてるのよ! ていうか怖いからとっとと海外のスクールにリターンしちゃってねっ!」 ミサは負け犬丸出しな台詞を吐き捨て、脱兎のごとく逃げ出していった。 「さて、邪魔者は消えたわね。後は砂沙美を――」 「待ちなさい!!」 「……今度は何ですの?」 特設テントの上に飛び乗り、颯爽と現れたのは……! 「プ、プリティサミー!?」 「……あ、あれ……ミサは?」 ミサの暴走を止めるべく現れたサミーだったが、 肝心のミサはもう泣いて家に帰ってしまった後だ。 つまり、正義の魔法少女は既に用済みである。 しかし、それでも現れてしまった以上、何か理由をつけなくてはなるまい。 「……し、姉妹ゲンカもサミーにおまかせ! プリティサミー、調停役に参上でぇす!」 「調停役ですって?」 ギィン、と阿重霞の殺気がサミーの身体を貫く。 思わず怯んでしまうサミーだが、 『お姉ちゃんに怒られるのぐらい慣れてる!』と思い起こし、身を奮い立たせる。 「そ、そうです! あたしは阿重霞さんと砂沙美ちゃんの仲を取り持つためにやってきたんです!」 「そうでしたか、それは殊勝なことでございますわね」 阿重霞は雰囲気を和らげ、ニッコリと微笑む。 「ですが……それならば、砂沙美と天地さまの仲を引き裂いては下さりませんか?」 そう言う阿重霞は、口元は微笑みながらも、目は全く笑っていない。 「お、お姉ちゃ……お姉さん! あなたは大事なことを忘れています!」 「大事なこと?」 「それは、砂沙美ちゃん自身の気持ちです!」 「砂沙美の気持ち……と、言いますと?」 「それは、天地さんが大好きだっていう――」 ギィン! 阿重霞の視線に殺気が復活し、サミーを射抜く。 しかしサミーは怯みつつも、そんな姉の視線を真っ直ぐに見返した。 どちらも一歩も引かないまま、時間だけが過ぎて行く。 ……そうして、数刻後。 「……わかりましたわ。プリティサミー、貴方に免じて今日の所は引き下がりましょう」 「えっ」 意外なことに、引き下がったのは阿重霞の方からだった。 「ですが、これだけは言っておきますわ」 阿重霞はサミーの耳元に口を近づけると、ボソっとつぶやいた。 『変装なら、もうちょっと上手くやりなさい。……砂沙美』 「え゛!!」 何事も無かったかのようにニッコリと上品に笑う阿重霞。 サミーはその笑顔に背筋が凍る物を感じた。 「それでは、わたくしはそろそろ大学に戻ります。ユリ!」 『はい、ただいまそちらに着陸いたします!』 阿重霞が合図して間もなく、 ユリの操縦するサンダーフェニックス1号が校庭に着陸し、 コクピットに乗り込んでいく阿重霞たち。 「それではプリティサミー、妹をお任せしましたわよ!」 そう言って笑顔で手を振る阿重霞。 コクピットのドアは閉じられ、サンダーフェニックス1号は発射された。 「サミー、阿重霞さんに砂沙美ちゃんのことを頼まれたのかい?」 「え……ええ、まぁ……」 天地の問いにも、サミーは曖昧に答えるしかない。 そうして姉を乗せたジェット機を見送りながら、サミーは思うのである。 (やっぱり……お姉ちゃんには敵わないなぁ……) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― サンダーフェニックス大学に戻った阿重霞だったが、 あれから仕事のペースが遅くなり、 物憂げに外を見つめることが多くなった。 当然、部下達も心配している。 (砂沙美が……あんな風にわたくしに逆らうなんて……。 幼かった妹も、いつかは自立していくものなのですわね……) 何とも言えない郷愁が、阿重霞の胸をつつく。 そんな阿重霞を元気付けようと、 小さな封筒を持った男子生徒が生徒会室に入ってくる。 「会長、妹さんから手紙が届いてますよ」 ドビシャァ! 書類の束が宙に舞うが、流石に部下達も慣れたもので、 その全てを地面に落ちる前に回収する。 「砂沙美~、待ってましたわよぉ!」 るんるん気分で鼻歌を歌いながら封を空け、手紙を読み始める阿重霞。 ……が、突然動きが固まる阿重霞を見て、部下達は「またか」とため息をつく。 『――今度、合唱部の発表会があるの。 上手く歌えるか心配だけど、一生懸命頑張って見るよ! でも、お姉ちゃんに聞かせられないのはちょっと残念だなぁ』 阿重霞は例によって突如として立ち上がり、机を叩く。 「……ユリ、サンダーフェニックス1号の発進準備をなさいっ!!」 「はっ!」 「か、会長ぉ! せめて公務を終わらせてからに……!」 「お黙り!!」 部下達の静止も聞かずに、あっという間にTF1号に乗り込む阿重霞。 (砂沙美、待ってなさい! 今すぐ急行して、お姉さまが応援してあげますわ!) 強烈なGに晒されながら、喜ぶ妹の顔を想像して顔をにやけさせる阿重霞であった。 <おしまい>
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ミヅハ覇シリーズ【剣士】 共通項目 値段 防御 火 水 雷 氷 龍 各値 14000z 64 -4 3 0 4 -1 総合 70000z 320 -20 15 0 20 -5 最大総合 311940z 420 - - - - - 防具強化 LV2 LV3 LV4 LV5 LV6 LV7 LV8 LV9 LV10 LV11 防御力 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 強化素材 鎧玉 上鎧玉 上鎧玉 堅鎧玉 堅鎧玉 堅鎧玉 堅鎧玉 堅鎧玉 重鎧玉 重鎧玉 費用 2850z 3719z 3719z 4580z 4580z 4580z 4580z 4580z 7600z 7600z 部位 名称 スキル系統 スロット 生産素材1 生産素材2 頭 ミヅハ覇【烏帽子】 耐雪+2 風圧+5 地形-2 O-- 霞龍の上皮*3 霞龍の翼膜*1 霞龍の宝玉*1 マレコガネ*2 胴 ミヅハ覇【胸当て】 耐雪+2 風圧+3 地形-2 O-- 霞龍の上皮*2 霞龍の翼膜*3 魅惑色の翼膜*2 獄炎石*2 腕 ミヅハ覇【大袖】 耐雪+2 風圧+5 地形-2 O-- 霞龍の尖角*2 霞龍の上皮*3 古龍骨*4 古龍の血*2 腰 ミヅハ覇【丸帯】 耐雪+2 風圧+3 地形-2 OO- 霞龍の上皮*2 霞龍の尻尾*1 古龍骨*5 ノヴァクリスタル*1 脚 ミヅハ覇【具足】 耐雪+2 風圧+5 地形-2 O-- 霞龍の上皮*2 霞龍の翼膜*1 真珠色の柔皮*2 ユニオン鉱石*5 スキル系統 頭 胴 腕 腰 脚 計 発動するスキル あと少しで発動しそうなスキル 耐雪 +2 +2 +2 +2 +2 +10 耐雪 風圧 +5 +3 +5 +3 +5 +21 龍風圧無効 地形 -2 -2 -2 -2 -2 -10 地形ダメージ増【小】 生産素材1 必要素材合計 ノヴァクリスタル*1マレコガネ*2ユニオン鉱石*5霞龍の上皮*12霞龍の尻尾*1霞龍の尖角*2霞龍の宝玉*1霞龍の翼膜*5古龍の血*2古龍骨*9獄炎石*2真珠色の柔皮*2魅惑色の翼膜*2 あと少しで発動しそうなスキルとは±5ポイント以内で発生、かつ既に発生しているスキルの強化系or弱化系ではないスキルのことです。 ただし、その強化系or弱化系が±4ポイント以内で発生する場合か、強化系スキル発動に元となるスキルから10ポイント必要な場合は、±5ポイント以内なら含みます。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3972.html
【夜・縁側】 京太郎「……気分が悪い」 京太郎(あんなメールを見たせいか目が冴えている。寝れない……) 京太郎(月はこんなに綺麗なのにな……はぁ) 京太郎「縁側で涼んでいよう……」 初美「京太郎?」 京太郎「うす、ずみさん?」 初美「イエースっ!はっちゃんなのですよー!」 京太郎「どうしてこんな夜にテンションが高いんですか……」 初美「そういうことは気にしたら駄目ですよー」 京太郎「は、はい」 初美「それよりも元気がありませんねー、どうかしたんですか?」 京太郎「えっと……」 京太郎(もう、いいか……言ってしまっても) 京太郎(幻滅されるなら勝手にすればいい) 京太郎(いい機会じゃないか。信じれるか、信じられないかを試す) 京太郎「……長い話になりますよ」 初美「どんとこいですよー」 初美「それに、こんななりでも私は京太郎よりも年上ですからねー」 初美「年下の舎弟が悩んでる時に聞いてあげるのも役目っ」 京太郎「舎弟になった覚えはないんですけどね……まあ、いいですけど」 初美「長くなるんだったら、私の部屋に来てくださいー。お茶ぐらい出しますよー」 京太郎「あ、はい」 京太郎「……そういえば、薄墨さん」 初美「はい?」 京太郎「……ありがとうございます」 初美「よく言えましたー」ヨシヨシ 【初美の部屋】 京太郎「という訳です」 京太郎「だから、俺は……小蒔さんの言っていることを素直に聞けません」 初美「……」 京太郎「すいませんね、こんな辛気臭い話をして」 初美「…………」 京太郎「薄墨さん?」 初美「京太郎」ニコッ 京太郎「はい?」 初美「まずは歯を食いしばれーっっ!!」バチーン 京太郎「けでぶっ!」 初美「京太郎は馬鹿ですよー!!!大馬鹿ですよーっ!」バチンバチン 京太郎「いた、いたいっ!」 初美「どうしてそんなになる前に周りを頼らなかったんですか!」 初美「苦しい時は苦しいっていうものなのですよ!」 初美「何で、一人で抱え込んだんですか!」 初美「それじゃあ、ただの自滅ですよ!」 京太郎「……っ!俺だって考えたさ!」 京太郎「だけど、巻き込んだら」 初美「そうやって一人で抱えて勝手に壊れる方がよっぽど迷惑ですよっ」 京太郎「薄墨さんになにがわかるってんだ!」 初美「あーもう、イライラしてきましたよー!ネコを被るのはもうやめですっ!」 京太郎「はっ、何を言ってるんだ。さっきからごちゃごちゃと!」 初美「やぞろしよっ!京太郎っ!!」 初美「わかりもはんよ!伝ゆいこともせんのに人の気持なんちわかっわけなかっ!」バチーン 京太郎「じゃあ、伝えたらどうだって言うんですか!」 初美「京太郎のこと、助くいに決まっちょっ!」 初美「口は何の為にあるんじゃっとな?人に言葉を話す為にあっとですよーっ」ベチコーン 京太郎「……だけど」 初美「じゃっどんも何もなかっ! 京太郎が一歩前に進んでいたら誰かが救いの手を差し伸べてくれたかもしれんっ!」 京太郎「そう言っておいて裏切るんだろ、どうせっ!友達なんてそんなもんだよなぁ!!!」 初美「裏切らない!試しっみもすかー?へんこっむん」バチーン 京太郎「この……!」ググッ 京太郎「俺は……!俺だって……!」 京太郎「俺だって、信じたかった!咲達を!友達を! あいつらの友達でいたかった!ずっと、ずっと好きでいたかった! 誰も嫌わずに麻雀を打っていたかった!」 京太郎「胸を晴れるように、真っ直ぐにたっていたい!だけど、もう遅いんだよ! 無理なんだよ!!」 初美「無理じゃなか!」 京太郎「無理だよ!アイツらは俺を騙していた!影で嗤っていた! それなのに、平然と友達面をしやがる!」 京太郎「何だよ、俺は道化かよ……本気の本気で友達だって思ってたのは、俺だけか?」 京太郎「……俺は許さない。騙した奴等を。影でコソコソ嗤っていた奴等を! 強くなるって願ったんだ!誰も彼も見返してやるって誓ったんだ! 真剣に、麻雀をやり始めたっ!」 京太郎「それを踏みにじったのは俺じゃない!周りじゃないかっ! だったら……!だったら、俺も狂っちまってもいいだろ!? 強くなる為に周りを蹴落としてもいいだろっ!」 京太郎「全部、無価値にしてやるって決めたんだ。俺が最強になって……」 京太郎「全員ぶっ飛ばす時まで!俺が望んでるんだ!」 初美「……嘘つき」 京太郎「ああ、嘘つきさ!嘘つきのクズで結構だ!」 京太郎「クズでもいい……俺は力が欲しいんだよ!」 初美「言ごあっこちゃそしこですか」 京太郎「それが、どうしたよ」 京太郎「俺は、迷わない。迷っちゃいけない。その為に……!」 初美(止めんと……!後戻いができなくなる前に!) 初美(私は――。私がやるべきこちゃ何だ!) 京太郎「……あ」 初美「京太郎が重い荷物を背負っててたのはもうわかったから」 初美「はぁ……私としたことが我を忘れて素で喋っちゃったのですよー」 京太郎「あ、ああっ」 初美「言いましたよね、京太郎は一人で抱え込み過ぎだって」 初美「一人で全部背負い込んだから重さに潰れて壊れちゃったんですよー」 京太郎「それでも、今更捨てられませんよ……もう、どうしようもないくらいまでくっついてるんですから」 初美「誰が捨てろと言いましたかー?」 京太郎「……えっ」 初美「京太郎一人じゃあ荷が重すぎる。それなら、私が一緒に持ってあげたら解決じゃないですかー」 初美「その狂気も。苦しみも。分けてしまえば痛くないですよーっ!」 京太郎「それは……駄目です」 京太郎「これは、俺のものです。どんな間違いがあっても責任は俺自身がとるものです」 初美「堅いこといいっこなしですっ、言ったはずですよ、もっと周りを頼れって」 初美「もっと、頼って下さい。周りを。まあ、すぐには無理だと思いますがねー」 京太郎「俺は……」 初美「答えは今すぐに出さなくてもいいですよー」 初美「嫌だって言っても無理矢理付いていきますから」 京太郎「……薄墨さん」 初美「はっちゃん、そう呼んで下さい」 初美「今まで私だけ苗字読みで何だか蚊帳の外だったんですよ?」 京太郎「……はっちゃん」 初美「はい」 京太郎「正直、まだ気持ちの整理はつきません」 京太郎「裏切った咲達は憎いって思ってます」 京太郎「狂気に染まってでも力が欲しいって思ってます」 京太郎「それでも……貴方の言ったことは胸に刻まれました」 京太郎「その、何というか!」 京太郎「はっちゃんなら……信じてもいいかなーって」 京太郎「ああもう!恥ずかしい!」 初美「えへへ、京太郎-!」ギュウッ 京太郎「ちょ、強く抱きつき過ぎですって!!」 初美「気のせいなのですよーっ!」 京太郎「……全く」 京太郎(でも、なんでだろうな。すっげー暖かくて……いい気分だ) 京太郎(何だかはっちゃんのことを考えてたら……) 京太郎(いやいや、だってロリだぜ?あり得ないって) 京太郎(お、俺まだロリコンになった訳じゃねーし!) 初美「京太郎、どうしたんですかー?」キョトン 京太郎「うわああああああああああああ!!!!」 京太郎(違う違う、ありえんありえんっ!) 京太郎(くそっ、初めて過去を自分から打ち明けた人なのか知らねーけどさ!!) 京太郎(静まれ、俺の意識っ!!!!) 初美「はいはい、暴れたら駄目ですよー」ギュウッ 京太郎「いい加減離して下さいよっ!」 初美「駄目ですー。離したら、京太郎が逃げちゃいますしー」 京太郎「逃げませんから、もう!」 京太郎「……すいません、見苦しいところを」 初美「ふっふっふ、京太郎の弱みゲットなのですよー」ニパーッ 京太郎「勘弁して下さいよ、もう」 初美「でも、“二人だけの秘密”って嬉しいですー。何か、乙女心にくるといいますかー」 京太郎「……本当に秘密にしといて下さいよ?」 初美「わかりましたー。でも、姫様達は笑わないで真剣に聞いてくれると思いますよ?」 京太郎「……そうですかね」 初美「ていっ」デコピンッ 京太郎「いてっ」 初美「ダメダメですよー!人は信じる、これ大事っ!」 京太郎「さ、然様ですか……」 初美「そう言えば京太郎ー」 初美「今日は一緒にこの部屋でお泊りですよー!」 京太郎「えっ」 初美「今日は一緒にこの部屋でお泊りですよー!」 京太郎「いや、二度は言わなくてもわかりますから」 初美「むむむ」 京太郎「むむむじゃなくて。それはさすがにやばいでしょう」 京太郎(主に俺の理性とか) 京太郎「誰かに見つかったらどうするんですか?」 初美「……」 京太郎「黙らないで下さいっ!」 初美「な、なるようになりますよー」 京太郎「ならないですって!はっちゃんは女の子なんですから」 初美「えへへ……」 京太郎「じゃあ俺はここで」 初美「ぎゃーー!待って下さいーー!」 京太郎「腰にひっつかないで下さいよ!ズボンがずれ落ちるー!!!」 京太郎「はぁ……はぁ……」 初美「全く、油断も隙もあったもんじゃないですよー」 京太郎「だから自分の部屋に帰りますってば」 初美「だーめーでーすー」 京太郎「どうして?」 初美「今の京太郎を一人になんてできはしませんー」 初美「落ち着いたとはいえ……京太郎は人のぬくもりをもっと味わうべきなのです」 京太郎「それで」 初美「私と一緒の布団で寝るんですよー」 京太郎「ノーチャン」 初美「な、なぜ!」 京太郎「俺男、はっちゃん女。はい、ファイナルアンサー」 初美「そんな細かなことを気にしたら負けですー」 京太郎「そういう問題じゃないと思うんですけどね……」 初美「い・い・か・ら!明日は早いんですから寝ますよー! ここで寝るまではしがみつきますー!」 京太郎「……め、面倒な人だなあ」 初美「京太郎には負けますよー」 京太郎「……今日だけですよ?」 初美「えー」 京太郎「えーじゃないですよ、こんな所見られたら……」 初美「去勢ですねー、チョッキンチョッキンですよー」 京太郎「やめて!」 初美「ふぁぁ……ねむねむ。京太郎、いい加減寝ますよー」 京太郎「な、何かすごい理不尽な気がするぞ」 初美「はいはい。おとなしくしてくださいねー」 京太郎「うわあっ!抱きつかないで下さいっ」 初美「あったかーい……」 京太郎「聞いちゃいねえ!」 初美「zzz」 京太郎「しかも寝るのはやっ!」 京太郎「……ええいままよ!俺は寝るぞーっ!」 【朝・はっちゃんの部屋】 初美「……京太郎、ずっと一緒ですよー」 京太郎(なんつー恥ずかしい寝言、聞いているこっちが恥ずかしいぞ) 京太郎(しかし、何だかんだで押し切られてしまった……お互い抱き合って寝てるとか何処のバカップルだ) 京太郎(こんな所を誰かに見られたら……) 京太郎(朝勃ちがなくてよかった。もしこんな所を見られたら……)ブルブル コツコツコツ 京太郎(げえっ!誰か来るぞ!!) 初美「京太郎ー」 京太郎(まだ寝てるとかちょ、まっ!) 巴「はっちゃんー。朝だよー」ガラッ 京太郎「あ」 巴「え」 京太郎(ヤバい、巴さんの目が店になっているぞ!) 巴「きょ、きょーちん?どうしてはっちゃんの部屋に?」 巴「というか何で二人一緒の布団で寝てるんですかねぇ……」 巴「これは霞さん行きですねぇ」 京太郎「ま、待って下さい!」 巴「見ちゃったものは見ちゃったものですし……」 京太郎(おいおいおいおい!洒落にならねーぞ!このことが他の人達にバレたら……!!) 京太郎(な、何とか言い訳をしないと!!) 京太郎「巴さん!!!」 京太郎「はっちゃんに捕まったんです、許してくださいなんでもしますから!」 巴「ん?」 京太郎「あ、やばっ」 巴「今なんでもするって言ったよね?」 京太郎「イッテマセン」 巴「かす」 京太郎「許して下さい、何でもしますから!」ドゲザーッ 巴「いや、まあ……そこまでしなくてもいいんですけどね」 巴「そんなことだろうとは思っていましたし」 巴「といいますか、私はかすみん達と違ってそういうのにはおおらかですから」 巴「だから、安心して続きをやってもいいんですよ」ニッコリ 京太郎「やりませんってば!というかそういうことはしてませんっ」 巴「はいはい。今日は夕方からデート、するんでしょう?なら浮気はいけないなー」クスリ 京太郎「仰る通りでございます」 巴「で、そのことは私とはるる以外は知ってるの?」 京太郎「知らないデス……」 巴「睾丸……破裂……仕方がなかった……京子ちゃん」 京太郎「わかりました……後でちゃんと伝えておきます」 巴「うん、そういうことは後出しされると嫌だからね」 巴「それにしても、きょーちん、はっちゃんの呼び名変わったよね?」 巴「これまた深い間柄になったんでしょうねー。ひゅー」 京太郎「ま、まあそれなりに」 巴「ややや。正直ですねー。まあ、私には関係ありませんが」 巴「早く部屋に戻った方がいいですよ。かすみん達が来るかもしれませんし」 京太郎「わ、わかりましたっ!」イソイソ 巴「そういえば午前中は誰と仕事なんですか?」 京太郎(今日は霞さんと仕事かー) 霞「……」ウズウズ 京太郎(何かすっごいふるふるしてるけど大丈夫なんだろうか) 霞(京くんと二人きり……久しぶりの二人きり……) 霞(へ、変な所はないはずよ!ちゃんと、朝にお風呂も入ったし!) 霞(髪もとかして服装も整えたわ。完璧よ!!!) 京太郎「あ、あのー……」 霞(!?) 京太郎「仕事終わったら少し時間貰えませんか?話したいことがあるので」 霞「えっ」 京太郎「駄目、でしょうか」 霞「だ、駄目じゃないわ!」 霞(やだ……もしかして、告白!?お、落ち着きなさい、石戸霞。 京くんは見ての通り朴念仁、そういう行動に出るとは思えない) 霞(冷静になって考えてみるとわかることよ。そうすると、彼が話したいことって?) 霞(やっぱり、告白!?や、やだーーー!私心の準備できてないのよーーーー!!)イヤンイヤン 京太郎(だ、大丈夫なのか、この人) 霞(でもでも!すぐに告白を受けてオッケーを出すのは軽い女って見られるんじゃないかしら? それはいけないわ!付き合いには節度を持ってむかわないとっ) 霞(ま、まずはデートから……?) 霞(それとも、文通から?) 京太郎(……返事はまだですか) 霞(も、もう!!!本当にもう!京くんはいつも私を困らせるんだからっ) 霞(それを知らないで君は……!悔しいなぁ) 霞「わ、わかった……仕事が終わってからでいいのかしら?」 京太郎「はい、それで大丈夫です。あ、それと」 霞(でも、女の違いにわからないとこはやっぱし未熟ね……。 せっかく、衣装も整えて髪型も整えたのに) 京太郎「いつもより綺麗ですね。髪型、似合ってます」ニコッ 霞「……えっ」 京太郎「いやぁ、なかなか言い出せなくて……」 霞「も、もうっ!そういうお世辞を言って!」 京太郎「お世辞じゃありませんよ。俺、霞さんのこと綺麗だって本当に思ってるんで」 霞(卑怯よ、京くんっ!卑怯よ……) 霞(そうやって褒められると、期待しちゃうよ……。 私にもチャンスがあるって) 霞(京くんは無意識かもしれないけど、女の子はそういう言葉には弱いのよ?) 霞(……君のこと、ますます好きになっちゃうじゃない!!!) 霞(……京くんの馬鹿) 霞(甘やかしの馬鹿よ、君は) 霞(でも、好きなの) 霞(その馬鹿な所を含めて、全部) 京太郎「あの……」 霞「何かしら?」 京太郎「聞きたいことがあるんです。この家のことなんですけど」 京太郎「この家の裏にあるでっかい神社の本殿はここが管理しているじゃないですか」 霞「ええ、そうね。あの神社は神代家が管理しているわ」 京太郎「俺、一度も入ったことないんですけど大丈夫なんでしょうか? 何か、色々とお参りとしたほうが……」 霞「その心配はいらないわ。あそこは選ばれた人しか入ることができない神境だから」 霞「京くんが無理に入る必要なんてない」 京太郎「なら、いいんですけど」 霞「だから、絶対に入っちゃだめ」 霞「あの先は神様の領域だから。常人にはちょっと厳しい空間だと思うの」 京太郎「わ、わかりました……」 霞「わかってくれたらいいの。それじゃあ仕事を再開しましょう?」 京太郎(霞さんがそこまで言うってことは何かあるのかな……) 京太郎(いや、やめておこう……) 霞「それよりも仕事を早く終わらせないと」 京太郎「しかし、裏方ってこんなにも大変なんですねー」 霞「それはどの仕事でも言えることよ。表では華々しいものも裏ではすごいんだから」 京太郎「そうですね……よし、頑張ろう!」 【昼・霞の部屋】 京太郎「ありのまま起こったことを説明すると霞さんに拉致られていた」 霞「人聞きが悪いわ。ただ、一緒にお食事しましょうって連れてきただけじゃない」 京太郎「ほぼ強制だった気が……いや、いいですけど」 京太郎「ご飯とかどうします?」 霞「その心配はいらないわ!私が朝作っておいたから」 京太郎「よ、用意がいいですね……」 霞(まずは、成功ね。男の人を掴むには胃袋からって本に書いてあったわ。 コカージスッコーヤの恋愛本なだけあって説得力も十分ねっ!) 京太郎「とりあえず、頂きます。他の皆は」 霞「ほ、他の子達は各自食べていると思うわ!」 霞(ステップ一。ライバルよりも先を行け。悪いけど、先に京くんの胃袋をゲットするわ) 京太郎「そうですか。いやー、俺だけ霞さんの料理を味わうのは抜け駆けかなーって」 霞(ううっ……京くんのキラキラした視線が痛い。で、でもこれで勝負をかけないと!) 京太郎「じゃあ、改めて頂きますっと」ングング 京太郎「……うまいっ」テーレッテレー 霞「そう、よかったっ」 霞(ステップニ。彼にあーん。この前は失敗したけど、今回こそは……!) 霞「きょ、京くん」 京太郎「なんでしょう?」 霞「あ、あ、ああっ。あっ」 京太郎「……?」 霞「アーン!!!」ズビシッ 京太郎「ふごっ!スプーンが口に刺さったあ!」 霞「あ、わわわっ」 霞「こ、こういう時の対処法は……!」 霞(本には……確か、ここは優しさをアピールすることで逆に好感度アップって!) 霞(でもどうしたらいいのよぉ!!) 京太郎「……霞さん」 霞「きょ、京くん?、だ、大丈夫?」 京太郎「それについてはご心配なく。それよりも……はい、あーんしてください」 霞「ふぇ?」 京太郎「いや、だって霞さん手が震えて全然できないじゃないですか。だから、俺が代わりに」 京太郎「昨日、はっちゃん達がやってたのを見てやりたかったんですよね?」 京太郎「俺なんかでよければって思ったんですけど……駄目でしたか?」 霞「う、ううん!!全然平気!」 霞(ま、マズイわ……想定外の事態!苦手分野よ、これぇーーーー!!) 霞(どうしてこういうのは麻雀みたいにうまくいかないのよ!) 京太郎「はい、口開けて下さいー」 霞「……あ、あーん」モグモグ 霞「おいしい……」 京太郎「それは霞さんが作ったから当然でしょう」 霞「そうじゃなくて……あーんされたから、おいしいのっ」 京太郎「そうですか?」 霞「そうなのっ!京くんはもうっ!」 霞(無自覚すぎるのよ、やっぱり甘やかしのタラシだわ! ああ、顔が真っ赤よ……!) 京太郎「あはは……そう言ってもらえて光栄です」 京太郎「では、もう一度しますか?」 霞「……うん」コクン 京太郎「俺で良ければ」 霞「……思ってたより恥ずかしいのね」 京太郎「そうですか?こういうのって友達同士やったりしません?」 霞「それは同性の話でしょう?異性になると、その……」 京太郎「まあ、俺はやってて楽しいですけどね」 霞「もうからかって!」 京太郎「だって、今日だけで霞さんのいろんな素顔を見れたんで」 京太郎「それってすっごい嬉しいことだなーって。霞さんって見ていて可愛いですし」 霞「」ボンッ 京太郎「霞さん?」 霞(か、かかかかかかっかく) 霞「そ、そ、そそそっそなんあことおないわわよ」 霞(か、可愛いって!かかくくぁ可愛いって!) 京太郎「ど、どうしたんですか?顔がやばいことになってますよ?」 霞「だ、誰のせいよ、誰の!」 霞(マズイ、そんなこと一度も言われたことなかったから……すごい、嬉しい) 霞(駄目ね……私、完璧に惚れちゃってるみたい) 霞(はぁ……こうも好きになっちゃうなんてね) 霞(それにしても、こうしてるとまるで私と京くんが新婚さん……! ああ、また顔が赤くなってきたわ!) 霞「……うふふ」 京太郎(何か変なことでも言ったのかな?さっきから顔を真っ赤にしてるし) 京太郎(うーん、どうしたものか) 霞(新婚……初夜……愛しあう……きゃーーーーー!!!) 小蒔「霞ちゃん、失礼しますねー」ガラッ 霞(……ね、寝取り!?小蒔ちゃんに寝取られちゃうの!!) 小蒔「あ、京太郎さん!」トテテテ 京太郎「どうしたんですか?お昼なら小蒔父さんと一緒なはずじゃ……」 小蒔「えっと、それでもお腹が空いちゃって……」 霞(な、何で……ラブラブな夫婦なのにいつの間にかに仮面夫婦!) 霞(いやあああああああああああああああ!!!) 京太郎「霞さんはさっきからどうしたんでしょうか?」 小蒔「具合がわるいのでしょうか……そうでしたら早くお医者様へと連れて行かないといけませんっ) 京太郎(たぶん、違うんじゃないかなぁ) 京太郎「落ち着きましたか?」 霞「わ、私は最初から落ち着いていたわ……」 京太郎(全然そんな感じには思えないけど) 霞「……コホン。それで、小蒔ちゃんはどうしてここに?」 小蒔「まだお昼休憩の時間もあるので遊びに来ました」ニコニコ 霞「そ、そう……」 霞(できればもっと遅く来て欲しかったわ……) 京太郎「そうですか」フアア 霞「あら、京くん。眠いのかしら」 京太郎「そうみたいですね。まるで小蒔さんみたいだ」 小蒔「もうっ、私はそんなに寝ていませんっ」 京太郎「あはは……すいません、霞さん。午後の仕事の時間まで後どれくらいありますか」 霞「一時間くらいはあるわ。朝に昼食を作っておいたからいつもより多めね……」 京太郎「そうですか」 京太郎「寝るにしても枕が欲しいですね……」 霞「……」ピコーン 霞「きょ、京くん?」 京太郎「はい、何でしょうか?あ、そうでしたね、寝るなら自分の部屋でってことですよね」 霞「そうじゃなくて!あー、もう……」 霞(恥ずかしくて言えないわよっ、膝枕してあげようかだなんて) 霞(でも、ここで攻めなきゃ……他の娘達に置いてかれちゃうわ) 霞(勇気をだすのよ、石戸霞っ) 霞「その、ね……別にこの部屋で寝てもいいのよ?」 京太郎「お気持ちは嬉しいですが、霞さんの布団を借りる訳には」 霞「だから違うのっ!膝枕、してあげるって言ってるのっ!」 京太郎「えっ?その、いいんですか?」 霞「私がいいって言ってるからいいのよ!」 京太郎「それじゃあ、お言葉に甘えて……」ゴローン 霞「……ひゃっ」 霞(京くんがこんなにも近くにいる……マズイ、緊張して太ももが震えるわ!) 小蒔「いいなー、私もやりたいですー」 霞「こ、小蒔ちゃんはまた今度ね」 霞(この座は渡さないわ……千載一遇の好機っ、いただくわ!) 京太郎「あー、その……意外と恥ずかしいものなんですね、これって」 霞「えっ」 京太郎「だって、霞さん。顔とか真っ赤じゃないですか」 霞「も、もももう!!!これは違うの、あったかいものを食べたからなのっ」 京太郎「……じゃあ、そういうことに」 霞「馬鹿……っ」 京太郎「はは、でも。馬鹿でよかったっす。俺」 京太郎「霞さんのそういう顔、見れたから」 霞「……」ボンッボンッ 京太郎「それに、すっごくきもち、いいし……」グー 霞(いやあああああああ!さっきからそういうことを自然と言わないでよぉ!) 霞(……穴に入って引きこもりたいわ。全く) 小蒔「……いいなぁ」 大切な人が掌からすり抜け、落ちていく夢を見た。 ぐしゃり。何かが破裂した音が聞こえた。 それは、元々は人間。否、人間“だった”ものという表現が正しいだろう。 ごく当たり前の日常を生きて平穏を謳歌していたはずのありふれた人間だ。 だらだらと流れている赤の河。それは生命の象徴たる、血。 明らかに致死量だった。素人から見てもわかる。 最も、それ以前に人としての原型を留めていないのでそんな判断は必要はない。 腕はひしゃげ、足は破裂し、頭は不恰好なスイカのようだ。 気持ち悪い。グロテスクな肉塊を見て、彼、いや彼女だろうか。 ともかく、それは性別の判別ができない程に壊れていた。 吐いた。死体を汚すなど、やってはいけない禁忌の行為なのに。 吐き出すものがなくなるまで、吐き続けた。 「――――」 “誰か”が咆哮を上げている。 怒りか、哀しみか。 両の瞳からは止めどもない涙を流し、視線は宙を穿つ。 見上げた空に落ちていく。 優しい物語は終演のカーテンフォールを告げる。 アンコールなど存在しない。 死んだら終わり。それは人間の摂理なのだから。 助けてください。“誰か”がピンク色の肉を握り締めて周りに乞う。 ぶちゅり。肉が潰れる音が掌から聞こえてくる。 あれ、おかしいな。まだ生きているのに。“誰か”は薄く笑って肉を掻き集める。 それは耳たぶであり。それは折れた腕であり、それは毛ほども残っていない足であり。 それは固い固い歯であり。それはぶにぶにとした脳みそであり。 それは――何の未来を映していない、瞳。 ぐちゅぐちゅとありったけの人間“だった”ものを集めて叫ぶのだ。 助けてください、と。意味もないのに。 “誰か”は立ち上がる。 そうだ、病院に行こう。病院に行けばきっと助かるはずだ。 あはは。ははは。はははははははは。あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっっ。 はははははあひゃひはははゃひゃひゃひひゅひゅふはははははひゃひゃひゃひゃひゃっっ。 ひゃはやははyはははははtyはっygっへfらgrhがえwrsがえrsgvdscthdれ! a。あ。ああっ。ああああぁあぁぁああぁああっ!!! 赤い化粧を塗りつけて。“誰か”は笑う。 人間“だった”ものを抱きしめて。 京太郎「うわああああああああっ!!」ガバッ 霞「きゃっ!」ボインッ 京太郎「あ、ああ……ゆ、夢?」 霞「えっと、どうしたの?突然、顔色が悪くなって起こそうかなって思っていたけど」 京太郎「か、霞さん……?」 霞「ええ、そうよ……っきゃあ!」 京太郎「よかった、無事で……本当に、よかった……!!!」 京太郎「…………よかった、よかったぁ」 霞「……はいはい。私はここにいる。ここにいるから」 霞「君の前からいなくなったりしないから」 霞「だから、泣かないで?ねっ」 京太郎「………はい」 京太郎「すいません、仕事の前にちょっと失礼します」ダッ 霞「あ、京くんっ」 京太郎(やばい、やばいやばいやばいっ!あの夢はやばい!何でかわからないけど、やばいんだよっ) 京太郎(何か、護れる武器を。人を護れる武器をっ!) ドン ???「うおっ!おいおい、前はちゃんと見とかないと怪我するぜ?」 京太郎「あ、すいません……」 ???「まあまあ、落ち着けって。何を慌ててるかどうかは知らねえけどよ……巫女さんがお前のこと、呼んでたぜ?」 京太郎「え、えっ」 ???「その巫女さん、すっげー心配してたぞ?戻ってやれって」 京太郎「でも……」 ???「とりあえずだ。お前が急いでる要件は後にしとけ」 京太郎「わかり、ました」 ???「女を泣かすんじゃねえぞ、色男」ニヤッ 京太郎「えっと」 流「流。俺は秋葉流ってんだ。別の宗派なんだが、用事があってね。立ち寄らせてもらったんだわ」 京太郎「流さん、すいませんでした」 流「俺よりも巫女さんに謝ってやれ。ほら、俺のことはいいから行ってこい」 京太郎「はい!」ダダダダッ 京太郎(今は……少し考える時だ。落ち着こう) 流「……あー。そういや、名前聞いておくの忘れてたわ」 流(まあいっか。どうせ――誰も、俺の風を止ませてはくれねぇんだしよぉ) 京太郎「……」 小蒔父「やあ」 京太郎「えっと、俺を呼んでいた巫女というのは」 小蒔父「私だ」 京太郎「すいません、殴っていいですか?」 小蒔父「ぼ、暴力反対っ」 京太郎「はぁ……まあいいですけど。俺になんの用でしょうか?」 小蒔父「メイド喫茶に行きたいから道連れ要因が欲しいんだ」 京太郎「すいま」 小蒔父「いやいやいや!」 京太郎「はぁ……わかりました」 小蒔父「わかってくれて嬉しいよ。それじゃあ、行こうか」 小蒔父「……道中、君の悩み事を聞くよ」 京太郎「ありがとうございます」 京太郎「夢を見たんです……」 小蒔父「夢を、かい?」 京太郎「はい、実は……」 カクカクジカジカ 小蒔父「誰かが死ぬ夢か」 京太郎「……それも、いやにリアルで、鮮明だったんです」 京太郎「もし、夢の人が俺の周りにいる人だと考えたら……」 小蒔父「ふむ……私は夢を見た君ではないから明確な回答は出せん」 小蒔父「ただ、全身バラバラで破裂しているということは大分懸念を絞ることができる」 京太郎「それは……」 京太郎「リンチによる惨殺……?」 小蒔父「君の見解はそれか……本当にそう思うかね?」 京太郎「集団で鉄パイプでボコボコ叩かれたりノコギリで斬られそうになったり」 京太郎「怖いですからね……」ギリッ 京太郎(そうさ、集団でかかられると逃げられない) 京太郎(畜生……!嫌なことを思い出しちまった) 京太郎「狂った奴等は平気でやりますからね……赤信号、皆で渡れば怖くないってよく言うじゃないですか」 小蒔父「まあ、そうだが……いやに詳しいね」 京太郎「ははは、たまたまですよ。たまたま」 京太郎(……はぁ。アイツら、今は全国大会に向けて呑気にやってるんだろうさ) 京太郎(まあ、それもそうだろうな。なんつったって首謀者みてーなもんなんだから、アイツらは) 京太郎(…………ケッ) 小蒔父「どうしたのかね、須賀君。リラックスだよ、リラックス。 あ、すいませーん!メイドさ~ん!」 京太郎(しかし、メイド喫茶で話すことじゃないな、これ) 京太郎(できることなら……この手でアイツらを――) 京太郎(目には目を歯には歯を。同じ目にあわせてやりたい) 京太郎(やられっぱなしで終われるかよっ!) 京太郎(前までは、そう考えていたんだけどな) 京太郎(はっちゃんにいくらかぶちまけたから気が緩んでるのかな) 京太郎(だけど。アイツらが憎いってのはそう簡単には消えねえ) 小蒔父「いやぁ~~~~、理緒ちゃんは今日も可愛いねぇ~~~~。 さすが、爆裂ロリータの異名なだけはあるね!!」 理緒「はうっ!そんなことありませんよ~~~」 京太郎(うーん、相談する人を間違えたかな……) 理緒「そちらのお客さんもそんな顔をしていないで楽しんでいってくださいね~」 京太郎「あ、はいっ!」 京太郎(とりあえず、今は気を休めとくか……) 小蒔父「ほら、須賀君っ!一緒にリオリオダンスを踊ろうっ」 京太郎(巴さんとかに相談したほうが良かったな、うん) 【夕方・小蒔家】 京太郎「何か午後は小蒔父さんと街で遊んでいただけだったような……」 京太郎「まあ、これも仕事の一種だって伝えておいたよ☆って言われたからいいんだろうけど」 京太郎(いいのかなぁ……これで) 京太郎「先に戒能さんに連絡しておこう」 プルルルルルルル 良子「はい、戒能です」 京太郎「あ、須賀です。どうもー」 ガラッキョウク 良子「少年か、約束通りちゃんとかけてきたな」 京太郎「そりゃあそうですよー。戒能さんとのデートを俺が忘れる訳ないじゃないですか」 エッ 良子「全く、よく口が回る奴だ」 京太郎「そりゃあ綺麗な女性の前では王子様を気取りたいものなんですよ、なんちゃって」 良子「…………ぅ」 京太郎「あれ、か、戒能さん?」 良子「……何でもないっ」 ガラガラピシャッ 京太郎「それでですね、仕事が終わったんで電話したんですけどどうしましょう」 京太郎「俺の方はちょっと用事があってまだ外にはでれません」 良子「そう……用事は早く終わるの?」 京太郎「多分……早く終わるかと」 良子「ならいい。女の人をまたせるのはデートに誘った男としてどうかと思ってるから」 京太郎「ははは、遅れませんよ。では、用事が終わったらまた連絡しますね」 良子「オーケー。シーユー少年」ブツッ 京太郎「…うーん、相変わらずクールな人だなあ」 京太郎「さてと……どうしようか」 【霞さんの部屋】 京太郎「霞さーん、いますかー」トントン 霞「……いるわ」 京太郎「失礼しますねー」ガラッ 霞「…………」ゴゴゴゴゴゴ 京太郎「ど、どうも」 京太郎(な、なんだ。この空気!すごく重いぞ!?) 京太郎(色々と話すことはあるけど何から話そう!?) 京太郎「霞さんって嫉妬深くて怖いです」 霞「……えっ」 京太郎「いやあ、何というか……雰囲気が」 霞「ち、違うのっ!こ、これは嫉妬じゃなくて!」 霞「愛情表現よっ!愛情表現っ!」 霞「その、よくあるでしょう?好きな人にはついついいじわるしたくなるって」 霞「それと同じよ。うん、そうに違いないわ」 京太郎「……えー」 京太郎(というか、俺もしかして告白されてる?) 京太郎(おもいっきり愛情って言われてるんだけどなぁ……) 京太郎(霞さんの無言の圧力も愛情表現なのか?) 京太郎(わかんねーよ!!恋愛関係については昔っからからっきしだしよぉ……) 京太郎「つまり、愛情表現だから嫉妬じゃないと」 霞「そ、そうよ。京くんもわかっているじゃない」アセアセ 京太郎「……ひとまずはそういうことにしておきます」 霞「……」ホッ 京太郎(まあ、いいか。今はそうじゃなくて) 京太郎「あの……俺、これから出かけてくるんで」 霞「そ、そうなの?」 京太郎「はい、戒能さんにお礼も兼ねて食事でも」 霞「ふんふむ……」 京太郎「一応、今日は遅くなるって伝えておこうかと。前は連絡もなかったんで」 霞「そうなの、ちゃんと学習しているのね。」ナデナデ 京太郎「……その、こうしてると。まるで俺が霞さんの子供みたいなんですが」 霞「十月十日、頑張ってお腹の中で育てました」 京太郎「何言ってるんですか」 霞「冗談よ、冗談」 京太郎「という訳の約束です」 霞「そう、わかったわ」 霞(本当はわかりたくないけど……今は我慢よっ) 霞(私は寛容な女の子になるのよ、ここで一歩引くことで私に対してのイメージも変わるはず……) 霞(完璧よ、これで京くんをゲットよ!) 京太郎(んー、本当に大丈夫かなぁ……) 京太郎(一回デートを断った手前もあるしなあ) 京太郎(正直、霞さん達は一緒に暮らしているから一緒に出かけても大したことないと思うんだけど) 京太郎(わからん……こればっかりは女の人に聞くしかないのか?) 京太郎(誰か頼りになる人はいないか?) 京太郎「よし、色々あったけどこれで後の心配はなくなったぞ」 京太郎(戒能さんとも待ち合わせ場所も確認したし万事オッケー) 京太郎(服も普段よりはおしゃれにコーディネート、チャラくない程度にアクセもつけて) 京太郎(まあ、何だかんだでこういうデートって初めてじゃないか?) 京太郎(音楽でも聞きながら行くか……) 京太郎(普通のでいいか……) 京太郎(何だか交通事故を起こしそうな曲だしな、アレ) 京太郎(待ち合わせの場所に辿り着いたら戒能さんがぐっちゃりなんて……) 京太郎(あれ……まさか今日見た夢ってこれか?) 京太郎(ということはもう、安全かな。後は安心して遊べるかなっ) 【待ち合わせ場所】 良子「やあ、少年」 京太郎「どうも。いつものスーツ姿なんですね」 良子「うるさいっ、仕事から直帰だから仕方ないだろ」 良子(私だって出来れば、私服のおしゃれな格好で来たかったさ……) 京太郎「そうですか。でも、似合ってますよ。仕事が出来る女って感じで」 良子「褒めても何もでないぞ……」 京太郎「いえいえ。本心からですよ」ニコッ 良子「……っ」 良子(ぐぬぬ……調子が狂う。私の方が年上なのに) 京太郎「それじゃあ立ち話もなんですし、何処か食べに行きましょうか」 良子「ん。あ、そういえばなんだけど」 京太郎「はい、どうしたんですか?」 良子「いや、知り合いから有名なピアニストのリサイタルのチケットを二枚もらったからどうかなーって」 京太郎「時間はどうなんですか?」 良子「まだ余裕があるから大丈夫。先にご飯を食べてもオッケー」 京太郎「わかりました。それじゃあ開演時間に上手くあわせますか」 良子「……それでなんだけど」 京太郎「??」 良子「これって一応デートなんでしょう?」 京太郎「一応はそういう感じですね」 良子「だったら、その……わからないか?」カアアッ 京太郎「俺にはさっぱり……言ってくれなきゃわかりませんよ」 良子「……手を、つなぎたくないのか?」ボソッ 京太郎「へっ?繋ぎたいんですか?」 良子「ち、違う!少年がデートだって言うからしかたな」ギュッ 京太郎「それじゃあ繋ぎましょうか、『良子』さん」 良子「~~~~~~~!!」カアアアアッ 京太郎「デートなんですよね?それじゃあ苗字呼びは失礼ですよね」 良子「あ。あ、あわっ」 京太郎「ですから良子さんも俺のこと、少年じゃなくて京太郎って呼んで下さい」ニコッ 良子「そ、そんな恥ずかしいことできる訳ないだろっ!!」 京太郎「えー、そうですかぁ?ただ、下の名前で呼ぶだけじゃないですかー。 良子さんってもしかしてそういう経験が」 良子「あ、ある。あるに決まってる!わ、私は――」 「しょ、処女じゃないしっ!!!」 シーン 京太郎「……あのぉ」 良子「処女じゃないから下の名前で呼ぶことぐらいできるっ!」 京太郎「……そ、そうですか」ドンビキ 良子「そ、そうだ!すっげーんだからな、何人もの男をちぎっては投げてきた!」 京太郎「表現がおかしいですよ良子さん!」 良子「私が処女という風潮、ノーウエイノーウエイ」 京太郎「ソウデスネー」 京太郎(周りの視線が痛い……帰りたい……!) 良子「きょ。きょっときょきょっ」 京太郎「もう、いいですから……無理しなくていいんですよ」ニッコリ 良子「だ、駄目だ、それじゃあ不公平じゃないか!」 良子「い、意地でも呼ぶからっ」 京太郎「わかりましたわかりました。とりあえず、ここから離れましょうね」 良子「まだ話は終わってないぞっ」 【喫茶・緑屋】 良子「というわけで私は処女じゃないから」 京太郎「分かりましたって。何回目ですか、その言葉」 良子「仕方ないじゃない。きょ、きょっ!『京太郎』が余りにもわからずやだったから」 京太郎(街中で処女じゃないって叫ぶ人よりはましだとおもうけどなぁ……) 良子「それで、京太郎はなぜこの喫茶店に?」 京太郎「ああ、小蒔父さんにここのコーヒーはおいしいって聞いたんですよ」 京太郎(女の子が可愛いから行ってるんだ~と言ってたことは考えないでおこう) 京太郎「それじゃあ何を頼みますか?」 京太郎「すいません、注文いいですかー」 眼鏡の少女「はーい」 京太郎「このラブラブカップルセット一つで」 良子「なっ、な、なっ!」 眼鏡の少女「うわぁ。お二人さん、彼氏彼女の関係ですか?」 京太郎「それに近い関係ですね」 良子「何言ってるんだ、お前はーーー!」 京太郎「だって、これデートですし。それにカップル割で安いですよ?」 良子「そういうことを言ってるんじゃない!その、恥ずかしいだろう!」 京太郎(さっきのアレのほうがもっと恥ずかしいと思うんだけどなぁ……) 京太郎「ともかく、これ一つ」 眼鏡の少女「畏まりましたー」 京太郎「……そんなに睨まないで下さい。俺、何かしましたか?」 良子「自分の胸に手を当てて聞いてみろ」 京太郎「はて、俺の胸は正直者で嬉しいなーって言ってますが」 良子「一回、心臓を止めてやろうか……?」 京太郎「そんな物騒なことを言わないで下さいよ……」 良子「誰のせいだ、誰の」 京太郎「ちょっとした下心だけしかありませんよ?」 良子「それを駄目だって言ってるんだ」 京太郎「いやいや、これが俺の地なんですって。はるる達の前ではあんま見せないんすけどね」 良子「どうして?」 京太郎「何か、違うんですよ。全員がいい人だってことはわかるんですけど」 京太郎「どうしてだかわからないんです、自分でも。ただ、壁を作っているといいますか」 京太郎「一緒の家に暮らしてるとどうも気を使っちゃうんでしょうね」アハハ 良子「ふむ……ハルが聞いたら悲しむぞ。アイツ、お前に懐いてるし」 京太郎「何ででしょうかねえ……」 良子「何かのオーラがあるんじゃないかな?」 京太郎「んなバカな。俺は凡人オブ凡人ですよ?」 良子「嘘。それは、嘘だね」 良子「君の中には何かが眠っている、そんな気がするんだ」 京太郎(貴方も、照さんと同じ事を言うんですね) 京太郎(そういえば、何でか……思い出せないけど) 京太郎(誰かにすっげーことを言われたような) ――姫様を助けて下さい 京太郎「っ!」ズキン 良子「どうした?突然。苦い顔をして」 京太郎「いやぁ、何か突然頭痛がして」 良子「無理をしているなら帰ってもいいんだぞ」 京太郎「冗談言わないで下さいよ。大丈夫ですって」 眼鏡の少女「お待たせしましたー」 京太郎「辛かったらちゃんと言うんで」 良子「なら、いいんだけどね」 京太郎(それにしても、さっき頭に浮かんだ言葉は、何だったんだ?) 京太郎「ということで食べましょうか」 良子「ちょっと待て」 京太郎「はい?」 良子「これはどういうことだ?」 京太郎「いや、至って普通のエビピラフですね」 良子「それはわかる。だが、どうしてスプーンが一つしかないんだ」 京太郎「一つのスプーンで食べろってことじゃないですかB」 良子「そ、それって……間接キス」ボソッ 京太郎「まあ、交互に食べましょうか。俺もお腹すいてますし」 良子「きょ、京太郎が全部食べていいぞ」 京太郎「そういう訳にはいきませんって。一緒に食べましょうよ」 良子「だ、だって、か、間接キス……」 京太郎「えっ、だって処女じゃなかったらキスぐらいしてるんじゃないですか?」 良子「…………っ」カアア 京太郎「はい、良子さん。口開けて下さい」 良子「なっ……んぐ、美味い」 京太郎「小蒔父さんのオススメ店で正解でしたね。ん、美味しい」 良子「……!」 京太郎「はい、二口目をどうぞ」 良子「で、でも……」 京太郎「早く食べないと冷めちゃいますよ?」ニコッ 良子「うっ……で、でも」 京太郎「まあデートなんですし、今回は!」 良子「……わ、わかった」 京太郎「はい、じゃああーんしてください」 良子「私は子供か!……あーん」 良子「……美味しい」 良子(か、間接キスとはいえ、私の初めて……) 良子(う、私の方が年上なのに……) 良子(この年まで恋愛なんて無縁だったよ、なんて言える訳ないし) 良子「そ、そんなに見るな……」 京太郎「いや、良子さんはやっぱり綺麗だなーって」 良子(……ふっ、私も学習する女だ。もうこれぐらいでは) 京太郎「でも、こうして見てると素の方が可愛いなって」 良子「……!?!?!?!?!」 良子「か、可愛いって」 京太郎「いや、俺ってギャップ萌えでして」 京太郎「良子さんっていつもキリッてしてるじゃないですか」 京太郎「そんな人の素顔を見てると何だか嬉しくて」ハハッ 良子「」ボンッ 京太郎「うん。やっぱり、良子さんは笑っている方がずっと素敵ですよ」 良子「」ボンッボンッ 良子(け、結局全部食べさせてもらった……) 良子(これじゃあ、本当のカップルみたいじゃないか) 良子(確かに、京太郎には感謝している。うちのハルもお世話になっているしね) 良子(でも、ハルは京太郎のことを――) 良子「なあ、京太郎」 京太郎「どうかしましたか?」 良子「お前、ハルのことどう思ってる?」 京太郎「どう思ってるって……友人だと思っていますが」 良子「そうか……」 良子(もし、もしもだ。私が京太郎のことを好きになったら、どうするの?) 良子(ハルに譲れるの?一方白に下がれるの?) 良子(ノーウエイノーウエイ。あり得ない、私が恋するなんて) 京太郎「良子さん、ぼーっとしてどうしたんですか?」 良子「な、何でもないっ。それよりも、食べ終わったんだ。早くリサイタルに行くぞ」 良子(私は……私は、君のことが――) 【リサイタル会場】 良子「着いたぞ、時間は……まだ幾分か余裕があるな」 京太郎「そうですね。それにしても、そんなに有名なんですか?アイズ・ラザフォードって」 良子「何を言うか。彼はピアノ界の寵児とまで言われてるくらい有名だ」 ナルミサーンコッチデスヨーヒッパルナ、ソデガノビルダロ 京太郎「へぇ……良子さんはものしりですね」 良子「これぐらい常識だ。その、なんだ……知らないんだったらこれから知っていけばいい」 良子「私が、教えてやるさ」 京太郎「……はい!」 コナンクーンヒトリデハジラナイノゴメンナサイランネーチャン 京太郎「それにしても、人が多いですね」 良子「そりゃあね。大々的なリサイタルだから。それにアイズ目当ての人も多いだろう」 オイミユキー、ナンデヤロウノリサイタルナンテキカナキャイケナインダヨモンクイワナイノッホライコッ スーパーベンゴシノオレニフサワシイオンガクヲキカセテクレルンダロウネゴロウチャンソレダケノジツリョクハアルカト 京太郎「うわぁ……老若男女選り取り見取りですね」 良子「それだけ人気だって証拠。私も知り合いからチケットを貰わなかったらここにいなかっただろうし」 京太郎「まあ、今日は良子さんとのデートなんで。いい雰囲気にしてくれることを祈りますよ」ニシシ 良子「……バカ」 京太郎「ちょ、それはひどすぎやしませんか!」 良子「バカにバカって言って何が悪い。全く、人の気も知らないで」 良子(自然に手を繋いでくるし……もう、君が見るのはハルなんだよ?私じゃない) ユッキーユッキー!ソンナニレンコシナクテモボクハニゲナイヨ 良子(あそこにいるカップルみたいに、ハルには幸せになってほしい) 良子(ちゃんと大切にしてくれる彼氏を見つけて) 良子(私が、京太郎を奪っちゃいけない) 京太郎「ん?」 良子(きっと、君は素でやってるのかもしれないけど) 良子(私にはすっげー大きいんだよ?) 良子(京太郎……) 【リサイタル会場(別視点)】 初美「うわーーー!すごいですよー!!」 巴「さすが世界を股にかけるアーティストのリサイタルですね」 初美「霞達はお留守番で残念ですねー。でも、じゃんけんの結果ですから仕方がないですよー」 巴「それにしても、ラッキーだね。姫様のお父上がチケットを二枚持っていたなんて」 初美「二枚でしたからみんな一緒は無理でした……」シュン 巴「そうしょげこまないの、はっちゃん。お留守番の二人の分までちゃんと聞きましょう」ドンッ 初美「そうですねー!それにしても、京太郎は何処に行ったんでしょうか?」 巴「あはは……はっちゃんは知らない方がいいと思うな」 初美「む!それはどういう意味ですかー!」 巴「はっちゃんには関係ありませんー」 初美「教えてくれたっていいじゃないですかーーー!」 巴「あはは……」 巴(きょーちん、今頃何処にいるんだか……戒能さんを泣かせていなければいいけど) ――皆、死んでしまえばいい。 【第四章前編復活ただし、悪意End】
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はっちゃんの入浴シーン 衣と初美 巴さんの出番 小蒔父 霞さん 衣とお風呂 はっちゃんと霞さんの体が入れ替わる 衣と夜中に長電話 夜中に悪霊とマ○カーする京太郎 小蒔父、衣に出会う 風呂場で霞さんに遭遇して狂気に包まれなかった場合 衣と水遊び 初美を追いかけまわそう ほのぼの霞さん 姉帯豊音!! 番外巴 番外衣 番外春 はっちゃんのビデオレター 霞さん、焦らされる京ちゃん プリキュア 巴、結婚 幸せな結婚生活(春バットエンドVer)閲覧注意 本編の裏座談会 きょうたろうさんのおにくはおいしいですっ!(小蒔バットエンドVer)閲覧注意 はっちゃんAfter(死亡シーン)閲覧注意 打線 打線2 お姫様の執事 初美の執事 はるると巴さんでスクイズ 京ちゃんの誕生日 悪霊に取り付かれて苦しむ小蒔ちゃんをお祓いする話 霞さんとデート! 菫さんendの続き イチャラブお風呂! 霞さん編 閑話休題 閑話休題2
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897 :名無しさん@秘密の花園:2010/08/16(月) 02 49 51 ID cEFDjvZb 霞さんは年上なのにその自覚が無くて、困ったものです。 巫女服はいつも帰って来て脱ぎ散らかしたまま。 畳まないから皺になっているし、おまけに寝坊までするから、朝はいつも大変です。 私が起こして巫女服を着せてあげなかったら、遅刻で出席日数が足りなくて、進級出来なかったかも知れません。 もうちょっとちゃんとして欲しくて 「霞さん、もっと自覚を持って下さい」 口を酸っぱくして言うのですが、当の本人は 「私が寝坊しなかったら、姫様はやることがなくてつまらないでしょう?」 と、どこ吹く風。 そのくせ 「いつも起こしてくれてありがとう」 なんて言うから、悔しくなってしまいます。 私が霞さんを好きなことも、放っておけないことも、霞さんはを知っている…。 知った上でわざとだらしなくしている。 だからいつも切なくなるんです。 (霞さんは私のことを年下の『姫様』としか思っていない) (だから私がどんな気持ちでいるのか知っているくせに、こうして意地悪をする…) そんなある日、いつものように霞さんを起こしに行った時 「ありがとう姫様。これ、ご褒美」 といきなりキスをされて、私はつい涙を流してしまいました。 霞さんが好きだから、そんな風にキスして欲しくなかったんです。 私のことを『姫様』としか見ていないことはわかっていました。 『小蒔』とは呼んでくれないことも諦めていました。 でも、せめて私の思いをそんな風にからかって欲しくなかったのに…それなのに…… 898 :名無しさん@秘密の花園:2010/08/16(月) 03 02 32 ID cEFDjvZb 悲しくて走り去ろうとして、腕をつかまれました。 振り向くと霞さんが今まで見たことがない真剣な顔をしていて 「ごめんなさい」 と言ったんです。 「謝らないで下さい、霞さん。謝られたら、もっと辛くなります」 目が合ったら涙が止まらなくなってしまう気がして、私は目をそらしたままそう答えました。 手を離して欲しい。 でも霞さんに触れていて欲しい。 こんな瞬間まで霞さんに焦がれている自分が恥ずかしくなって、唇を噛んでいたら 「ごめんなさい、小蒔」 不意に後ろから抱きしめられました。 「不器用だから、あなたの真っ直ぐな気持ちに上手く答えてあげられなくて…」 「霞…さん?」 「だから本当はあなたが好きなのに、からかうことしか出来なくて」 「そんなの嘘です…」 いきなりで、信じられなくて、駄々をこねる子供みたいに首を振った私の唇を、霞さんは鮮やかに奪いました。 そして、それ以上何も言わせてくれませんでした。 おしまい
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京太郎「霞さん? 霞さーん」 霞「はい? どうしたの京太郎さん」 京太郎「あ、いた。アイス買ってきたんでおひとつどうです?」 霞「え、あら……私もその、さっき買ってきちゃって」 京太郎「ありゃ……食べ比べでもします?」 霞「お腹に悪いわよ? 私のは明日にして、今日は京太郎さんの買ってきたアイスにしましょう」 京太郎「そうしますか」 霞「……ふふ」 京太郎「どうしたんです?」 霞「いえ……一緒に住んだりすると、やっぱり行動って似通うのかしらね、と」 京太郎「あはは、そうかもですね」 霞「きっと、こうやって家族になっていくのね……」 京太郎「ええ、きっと」 カン
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京太郎「霞さん!」 霞「あら、京太郎くん」 こちらに向かって元気よく手を振っているのは清澄の男子部員、須賀京太郎君だ。 インターハイでなんやかんやあって、今日はデートである。 霞「待った?」 京太郎「いえ、今来たところです!」 霞「ふふふ」 まるで恋人のようなやり取りに思わず笑ってしまう。 どこから見ても立派な恋人同士、しかし…… 霞(お、男の人とデートだなんて……。 それにこのやり取り……漫画みたい……,) この石戸霞。実は乙女である。 普段からみんなのまとめ役として気を張り詰めていたり、何かとお姉さん扱いされているが彼女も女の子。 むしろそういう立場に置かれているからこそ、人並み以上にそういうことに憧れている。 少女漫画を読み耽り、巫女としての厳しい扱いから救い出してくれる王子様を妄想したことも一度や二度ではない。 霞(金髪で高身長) これに白馬がつけばまるで絵本の中の王子様のようだ。……実際にはしまりのない顔をしているのだが乙女フィルターとは偉大である。 京太郎「んじゃ、行きましょう! タコス……は雰囲気がないかな。パスタとかの方が」 霞「いえ、食べたことがないから、是非食べてみたいわ」 京太郎「わかりました! こっちです!」 そう言うと彼は霞の手を引き先導する。 ちょっとだけ強引なところも女の子としてはポイントが高い。 京太郎から見えないところで、ニマニマと普段の霞からは想像が出来ないような緩み顔をしてトテトテとついていく。 石戸霞の女の子としての幸せはこれからである。 カン
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特別編 side永水 ※日記発見から中身拝見までの流れは省略します ☆月◇日 学校の先生を「お母さん」と呼んでしまう現象、たまにやってしまう アレを今日不覚にもやらかしてしまった 部活中、つい霞さんを呼ぶ時、「あ、母さん…」と言ってしまった やばかった。一瞬時が止まった その後笑顔だけどすごい威圧感のある霞さんに正座させられた どういうことなのか、一体なぜ間違えたのか、をじっくりと聞かれた 後ろで爆笑を堪えているであろう初美さんと春がやけに目に付いた。今度仕返ししてやる 本当にうっかり間違えただけで、つい霞さんが落ち着いているからで、決して深い意味や悪質な意図は無い そう言うがそのまま部活終了まで俺は正座のままだった 俺が悪いけどさぁ……ぶっちゃけ初美さんと並んだら親子だろ、アレは 霞「」 初美「……これは私も怒るべき……ちょ、何か降ろしてません?」 小蒔「か、霞ちゃーん?」 巴「お、落ち着きましょう?ほら、これ日記ですから、多少はこういうこともあって……その……」 春「黒糖あるから落ち着いて?京太郎にバレるよ?」 霞「……そうね、えぇ……日記をこっそり見ている立場でこういうことは言えないわよね」 小蒔「ほっ」 霞「でも、ねぇ……」 霞「許せないことも、あるのよ?」ゴゴゴゴゴゴ 初美(あ、これ駄目ですねー) 巴(止めれそうにないです。ごめんなさい京太郎くん) 春(グッバイ京太郎。ちゃんと霊になってからも呼ぶから安心してね) 霞「ちょっと行ってくるわね?えぇ、大丈夫よ?話し合い(物理)よ?」
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ENDを迎えたので「菫さんの安価より一つ前の安価までロードします」 【廊下】 京太郎「……ふぅ、朝から大変な目にあったぜ」 京太郎(一瞬、俺が幸せになるイメージが浮かんだけど気のせいだろう) 霞「あら、何のことかしら?」ヒョイッ 京太郎「うわああっ!?」 霞「どうしたの、そんなに驚いて?」 京太郎「後ろから声をかけられたら驚きもしますって……」 霞「そんなものかしらね……あ、それよりも京君」 京太郎「はい、何でしょう?」 霞「ちょっと倉庫の片付けがしたいから京くん手伝って?」ムネオシツケ 京太郎「……霞さん」 霞「何かしら?」 京太郎「当たってるんですけど」 霞「当ててるのよ、うふふ」 京太郎「うふふじゃないですよ!この家にいる女の人はもっと慎みを持つべきですよ!」 京太郎「いいですか、女性というものは慎みが大事です」 京太郎「そ、そういうアプローチは良くないですよ!」 京太郎「もっと、お淑やかに!」 霞「でもね、京くん」 京太郎「はい?」 霞「裸で私を襲った人がいう言葉ではないわ」 京太郎「」 京太郎「……というわけで倉庫です」 霞「ええ」 京太郎「ところで、霞さん」 霞「今度は何かしら?」 京太郎「俺達はなぜ、自然に手をつないでるんでしょうか?」 霞「んー……何となく?」テヘペロ 京太郎「……」 霞「ちょっと、苦虫を噛み潰したかのような顔はやめてくれないかしら」ギュギュッ 京太郎「ぎゃーーースっっ!手が、手が痛いっ!」 霞「全くもう……私は乙女なんだからね?」 京太郎「あっ、はい」 霞「……」 京太郎「霞さん、プリティーー!」 霞「ありがとう、京君」ニッコリ 京太郎(……そういうことにしておこう) 京太郎(そういえば、いい機会だし俺の過去についてでも話すかな?) 京太郎「そういえば……」 京太郎「まだ、話してなかったですね」 京太郎「俺の過去について」 霞「ふんふむ……それが、京君の過去」 京太郎「ええ、情けないったらありゃしないですよ」 霞「そうね。どうして、全部一人で抱え込もうとしたのかしらね」 京太郎「その、なんていうか……」 霞「遠慮、でしょう?迷惑を掛けたくないって類の」 京太郎「はい」 霞「いい?そういうことは一人で考えちゃだめ」 霞「ちゃんと、話して楽になること。君一人が背負うことじゃないのよ?」 京太郎「わかってますけど……」 霞「まったくもう……あれ、これは何かしら?」 京太郎「あっ……!」 京太郎(な、なぜ、こんなところに!) 京太郎(笹倉さなちゃん!正統派のロリオナホール!) 京太郎(や、やばい……!何か知らないけどやばい!) 霞「~~~~~~~~~~~!!!」ボンッ 京太郎「か、霞さん?」 霞「こ、ここここ」 京太郎「ちょ、落ち着いてくださいって!」 霞「だ、だって……!} 霞(え、これがここにあるってことは何?京君の下の……は、恥ずかしいわ……! そういうのは段階を踏んでからよ!) 霞(まだ、付き合ってもいないのに速すぎるわ!そ、そりゃあ私は京君のことが好きだけど) 京太郎「えーっと、霞さん?」 霞「ひゃい!」 京太郎「と、とりあえず、それ……おろしましょう」 霞「そ、そうね……」コトッ 京太郎(それにしても、何であったんだろう、笹倉さなちゃん) 京太郎(まあ、犯人は多分あの人だろうけど) 霞「えっと、京君?」 霞「その、こういうのに興味があるの?」 京太郎「……っ」 京太郎(秘技!これぞ年上を落とす赤面顔!) 京太郎(ハギヨシさんが覚えておくと便利ですよ、って教えてくれたんだよなぁ) 京太郎(まあ、効くわけな……) 霞「……」キュン 京太郎(あるぇー?) 京太郎(おかしい……何かがおかしい!) 霞「うふふ……」ジリジリ 京太郎「えっと、霞さん?」 霞「その、ね。京君の赤面顔が可愛くて思わず抱きつこうだなんて思ってないわよ?」 京太郎「じゃあ何で近寄ってくるんですか?ハアハア荒い息を吐きながら!」 霞「な、何もしないから!ちょっとだけだから!」 京太郎「それはちょっとだけの人が言うセリフじゃないですよ!」 霞「……まあ、多少はね?」ダキツキー 京太郎「ちょ、力が強すぎますって!」 京太郎(つーか胸があたって気持ちいいっていうか!)ヨンダ? 京太郎(呼んでないよ!あーもう!霞さんは初なのにスキンシップが激しすぎるんだよ) 霞「ん~、いい抱き心地ねぇ」 京太郎(だ、誰かたすけてーーー!) 【霞の部屋】 京太郎「それでなんですけど」 霞「ん?」 京太郎「俺はどうして霞さんの部屋にいるんですかねぇ」 霞「お持ち帰りしたかったから?」 京太郎「俺は物ですか!?」 霞「まあまあまあ。とりあえず、お茶でも入れてくるからちょっと待っててね」 京太郎「仕事はいいんですか……?」 霞「大丈夫よ、一応、倉庫の整理という仕事は終わったのだし」 霞「それじゃ、ちょっと行ってくるわね」ガラッピシャッ 京太郎「行ってしまった……」 京太郎(とりあえず、待っていよう) 京太郎(だけど、暇だしなあ。どうすっかな?) 京太郎「な、何だ、これは?」 京太郎(厳重に鎖で縛られてるけど……こ、怖いぞ) 京太郎(でも、読みたい。読んでみたい……)ウズウズ 霞「お待たせ、アイスティーしかなかったけどそれでいいかしら?」 京太郎「ひゃあっ!」 霞「どうかしたの?」 京太郎「いえ、なんでも!」 京太郎(とっさに懐に隠しちまった!だ、出せねぇぞ!) 京太郎(……で、でも内容は気になるしなぁ。うん、仕方ない!) 霞「あ、砂糖入れたけど大丈夫だったかしら」サー 京太郎「あ、はい。大丈夫です」 霞「うふふ……それじゃあ召し上がれ♪」 京太郎「……」ゾクッ 京太郎(何だか寒気がしたけど大丈夫か?) ※寒気がしたので飲みませんでした。 京太郎(……さてと、この日記帳を持ってきちまった) 京太郎(今は昼休みだから読めるけど) 京太郎(なんだろう、これを読んだらもう戻れない気がする……) 京太郎(気づかない方がいいっていうか。これを知ったら前みたいにいられない) 京太郎(それだけ、ヤバいものだと思うんだ) 京太郎(どうすっかな……) 京太郎「……読もう」 京太郎(俺は知らなくちゃいけない) 京太郎(これを読むことで、何かが掴めるなら――!) 京太郎(鎖は……ハギヨシさんからもらったよく切れる忍者刀でっと!)カチャン 京太郎(よし、むりくりだけどほどけた!) 京太郎(さて、読むぞ!) 京太郎「なん、だよ……!」 京太郎「ふざけるなよ、嘘だ……そんな……!」 京太郎(そうだったのかよ!おかしいと思ってたんだよ) 京太郎(それなりにここにいるのに『使用人とほとんど会わない』なんて、おかしいだろ!) 京太郎(逃げないと……!早く、ここから!) 京太郎(まさか、まさか――!) ざしゅり。 (小蒔さんが、あぶな、い…………にえ、は……神に、代わる…………) 【DEADEND】 ――――――。 クエスチョン、これは黄昏の世界。 神々の終焉をも越えた。 今なお紡がれるお伽噺の一ページ。 人は、変革の薇螺子を挿し込もうと足掻くのか 人は、仮に宿る記憶を取り戻すのか 人は、天児の凶気を取り除くことで明日を掴むのか ―――――。 変革の薇螺子を挿し込もうと足掻く 京太郎「……うあああああああああああああああっっ!!!!」 ???「ひゃっ!!!」 京太郎「お、お、おおおお」 京太郎「俺が死んだぁぁあああああ!?」 ???「ふぇ……死んじゃいやです京太郎さん!」ギュッ 京太郎「あ、あ……あれ?」 ???「嫌ですよぉ……死んだら駄目ですよ……」グスン 京太郎「小蒔、さん?」 小蒔「はい……っ。京太郎さん、突然、倒れて……それで、部屋に運んで……」グスングスン 小蒔「とっても!とっても、心配したんですよ?」 京太郎「そう、だったんですか」 小蒔「もう、死ぬなんて言わないでください!縁起でもないですから!」メッ 京太郎「あ、はい……」 京太郎(さっきの夢は、何だったんだろう?) 京太郎(うーん、俺が死ぬってのは覚えてるんだけど) 京太郎(大事なことを、忘れてるような……) 京太郎「……小蒔さん」 小蒔「はい?」 京太郎「少しだけ。ほんの少しだけでいいんで」 京太郎「手を握っててもらえますか?」 小蒔「……もちろんです」 小蒔「京太郎さんが落ち着くまで、そばにいますから」 京太郎「ありがとうございます……」 小蒔「いえいえ。困った時はお互い様ですから」 京太郎(小蒔さんの手、柔らかくて、温かい) 京太郎(この手は絶対、離さないようにしないとな) 京太郎(……畜生。あったけぇ) 京太郎「……うーん、眩しい」 京太郎(日差しからして昼かなあ) 京太郎(つーことは、倒れたのは朝だったのか……) 京太郎「よいしょっと」 京太郎(そうだ、テレビでもつけるか)ピッ 『長野県……少女……交通事故……意識不明……』 京太郎「…………ニュースを見てもしゃーないか。他の番組でもいれるか」 霞「調子はどうかしら?」」ガラッ 京太郎「霞さん。どうも、迷惑かけてマジすんませんです」ペッコリン 霞「何言ってるの。困った時はこうやって助け合うの」 霞「だから、遠慮なんてしちゃ駄目。いい?」 京太郎「は、はい……」 霞「それじゃあ、おかゆ持ってきたから……その、ね?」 京太郎「自分で食べま」 霞「だーめ。手が震えてる。火傷したらどうするのかしら?大人しくお姉さんに甘えなさい」 京太郎「なら、お言葉に甘えて」 霞「はい、あーん」 京太郎「んぐんぐ……うまいっすけど。なんか、恥ずかしいっすね」 霞「慣れよ、慣れ。それに今更私達の間で恥ずかしいなんてないでしょう?」 京太郎(さなちゃんの時は恥ずかしがっていたのに……) 霞「それにこうしていると……私達……」チラッ 霞「その、わかるでしょう?」チラッ 京太郎「いえ、全くわからないんですけど」 霞「……やっぱりね。京君に期待した私が馬鹿だったわ」 京太郎「???」 霞(夫婦みたいね……なんて。全然意識されてもいないのに言える訳……) 京太郎「それにしても、何か、暖かくていいですね。こういうのって」 京太郎「なんて言うか、家族っていうか。……夫婦っていうか」ボソッ 霞「……その言葉が出るのが遅いのよ、もう」 京太郎「いや、恥ずかしいじゃないですか」 霞「あら。そんなことないわよ?」ギュッ 京太郎「!?」 霞「こうして、つながっているだけで暖かい。それはとても素晴らしいことだと思うけれど」 京太郎「幸せスパイラルですね!」ババーン 霞「……」 京太郎「いや、そんなしらけた顔しないでくださいよー!!!」 霞「い、いいと思うわ。うん、素敵ね」ニガワライ 京太郎「いや違うんですって!これはとある女の子の素敵な理論なんですって!」 京太郎「……今日はおとなしくしろって言われたぞ」 京太郎「だけど、ずっと寝てるって暇なんだよなぁ」 京太郎「やっぱりじっとしていられないな」 京太郎(居候させてもらってる身だし……よっしゃ、取りあえず動くか) 京太郎(断られたら断られたでしゃーない、拝み倒してしまおう) ブーブー 京太郎「ったく、うるさいなあ。そういえば、最近携帯いじってないなぁ」 京太郎「っと。それよりも、仕事仕事っと」 着信。 ――加治木ゆみ。 【廊下】 京太郎「という訳で手伝いに来ました☆」 初美「駄目ですよー☆」 京太郎「……やっぱり?」 初美「はい!病人はおとなしく寝ているのですよー」 京太郎「いや、何だか落ち着いていられなくて」 京太郎(別の世界線の俺が地雷を踏みまくってるような……) 京太郎(気にしたら負けだよな、うん) 京太郎「オナシャス!何でもしますから!」 初美「ん?今なんでもするっていいましたよねー」 京太郎「はい!」 初美「じゃあ、寝てくださいよー。また倒れたらどうするんですかー」 京太郎「その時はその時です」 初美「えー……」 京太郎「という訳で行きましょう」 初美「はぁ……ちょっとだけですよー。後で怒られるのは私なんですからー」 京太郎「はっちゃんはっちゃん」 初美「どうしましたかー」 京太郎「どうして、はっちゃんはそんな服装なんですか?」 初美「京太郎を悩殺するためですよー」 京太郎「全然そそらないですよー」 初美「……」ガシッドスッ 京太郎「痛い!痛いですって!ちょ、洒落にならない!」 初美「乙女の心は繊細なのですよー?ちょっとでも変なことを言ったらヤンデレレーですよー」 京太郎「えー……」 初美「だから、失礼なことはめっですよー!」 京太郎「やっぱりそそらないのですよー」 初美「……」ガシッドスッガシッドスッ 京太郎「ジョークですって!ちょっとしたジョーク!」 初美「……ひどいですよー、好きでこんな身体になったわけじゃないのにー」 京太郎「それはそれで、どこかの愛好家達が好むんじゃないんですか?」 初美「ノーセンキューですよー!」ダキツキーッ 京太郎「……まな板」 初美「むうううううう!!」 初美「そこまで言うんならいいです!私の身体を全部見てからそそるそそらないを決めてくださいよー!」バッ 京太郎「ちょ、ここ廊下ですから!!!」 初美「うがーーーーーー!!!」 京太郎「結局、騒いでたら霞さん達に見つかって戻された」 京太郎「……いかんだろ」 京太郎(とりあえず、大人しく寝よう。これ以上、怒られたくはないし) 京太郎(…………ぐぅ) 京太郎「……ここは、」 桃子「久しぶり、っすかね」 京太郎「モモ……?」 桃子「ええ、いつでもどこでも。貴方のいる所に私あり。東横桃子っす」 京太郎「いや、いつでもは怖いだろ……」 桃子「あはは、冗談っすよ、冗談」 京太郎「わーってるよ。それにしても、何だよここ。夢にしちゃあはっきりしすぎじゃないか?」 桃子「フフーフ。それはなんと驚きの!私達は夢で話せるぐらいに深くつながってるんすよ!」ババーン 京太郎「……何いってんの?」 桃子「冷たっ!」 京太郎「そんなオカルトありえません!」 京太郎「なーんて、前までは言ってたんだろうけど」 桃子「それじゃあ……」 京太郎「信じるよ。ダチだろ、俺達」ニコッ 桃子「……変わってないっすね」 京太郎「そりゃな。あ、そういえば最近」 桃子「ストップっす。それ以上はなしっす」 京太郎「はぁ?」 桃子「全部、知ってるっすよ。京太郎が私の姿が見えなくなったことも」 桃子「……全部、知ってるんすよ」 京太郎「……そっか」 桃子「それで、今日は――お別れを言いにきたっすよ」 桃子「……京太郎は、先輩達以外で初めて出来た友達だったんすよ」 桃子「最初は何だこいつって思ってたっす」 京太郎「そりゃあ態度でわかる」 桃子「そんな私にも京太郎は丁寧にメールを送ってきて……すっごく嬉しかったっすよ」 京太郎「お前、あの時は寝不足になったからな!」 桃子「へへへ、ついつい楽しくなっちゃって……」 京太郎「ったくよ……それよりもお別れって」 桃子「せっかちな男は嫌われるんすよ?黙って聞いて欲しいっす」 京太郎「はいはい……」 桃子「……それから、京太郎が風邪を引いて、私がお見舞いして」 京太郎「俺がお前を護る、はー、今考えるときざったらしい」 桃子「いいじゃないっすか、私は……すごく嬉しかったし」 京太郎「言ってる俺が恥ずかしいんだよ!」 桃子「でも、私には響いた。誰にも見えない、聴こえない、私を護るって言ってくれて」 桃子「……京太郎は私のこと、友達だとおもってくれてるんすよね?」 京太郎「ああ!」 桃子「でも、私は違うんすよ」 桃子「私は――京太郎のこと、友人じゃなくて……」 桃子「一人の男性として、好き……なんだ」 桃子「……でも、京太郎は違うんすよね?」 京太郎「…………ああ」 桃子「~~~~~!!!わかってたっす、ええわかってたっすよ!!!」 桃子「でも、言わなくちゃ!言わなくちゃいけなかった!」 桃子「知って欲しかった、私が好きだってことを!迎えに来て欲しいって思ってたことを!」 桃子「……伝えたかったんすよ。大好きだって」 桃子「だけど!無理、なんだよね?」 京太郎「……俺は」 桃子「そういう所で気遣いはいらないっす。惨めになるだけっすよ」 京太郎「だけど、それとさよならがどう関係してるんだよ!」 桃子「……いずれ、わかるっすよ」クルッ 桃子「何で、私が京太郎と話せるのか。全部が不確かで意味わかんねーって感じだけど」 桃子「クルクルと回るコイントス。裏表を知らずに別れるのは嫌だって思った。 届くのなら、結果を見れるのなら。諦めない」 桃子「その結果が、これっす。見事、玉砕!でしたけど」 京太郎「モモ……」 桃子「行ってください、最後ぐらい、笑って、お別れしたいんすよ」 桃子「起きたら、わかると思うっす。きっと、色々と大変だろうけど」 桃子「がんばっ!っすよー」 京太郎(……俺は) 京太郎(俺は――――!) 京太郎(……やることは、簡単だよな) 京太郎「ヤダ」 桃子「へ?」 京太郎「何がお別れだよ、ふざけんな」 京太郎「そんなの知ったことかってーの。最後?縁起でもねーこと言うなよ」 京太郎「確かに、俺はモモの好意を受け取ることは出来ないけど」 京太郎「こんな形で別れるのは嫌だ」 京太郎「な?」 抱きしめる。彼女の華奢な体をぎゅっと、強く。 離さないように、最後なんて嘘にするかのように。 桃子「……無理っすよ」 京太郎「無理じゃねーって。どこまでも強く願えば必ずできる」 想いを貫けばきっと――また、笑える。 どんな形であろうとも、生きてさえいれば。 京太郎「……だから、お別れじゃねーよ。こういう時はな。 『またな』って言うもんだ」 桃子「……っ、うん」 涙でぐしゃぐしゃにしながらも、笑う。 最後ではないけれど。笑って、言いたいのだ。 桃子「また、ね……!」 京太郎「ああ、またな」 ――だって、そうじゃん? 彼は心の中でそっと、呟いた。 京太郎(女の子は笑っている方が可愛いし、見てて嬉しいもんだ) 京太郎「……ふぁ」 京太郎(懐かしい、夢だったな……モモ) 京太郎「さてと、よく寝た寝たーっと」 ブルルルル 京太郎「……もしもし」 ゆみ「須賀君か?加治木だ」 京太郎「あ、これはどうも。そういえば、履歴にもあったんすけど」 ゆみ「……そのことだが。落ち着いて聞いて欲しい」 京太郎「はぁ」 ゆみ「簡潔に言おうか。モモが事故にあった」 京太郎「ええっ!それで、大丈夫なんですか!!!」 ゆみ「身体には別状はない。ただ……」 ゆみ「記憶を失ってるんだ。君との記憶をすっぽりとね」 京太郎「……そうっすか」 ゆみ「あまり、驚かないね」 京太郎「なぜなんでしょうかね……」 京太郎(あの夢……があるからかな) 京太郎「でも、よかったですよ。身体に怪我がなくて」 ゆみ「……そうだな。そういえば、今は鹿児島にいるのかい?」 京太郎「ええ」 ゆみ「そうか。それならこっちにでも帰ってきた時、うちによるといい。 一緒にお見舞いに行こう」 京太郎「わかりました」 ゆみ「……大丈夫か?いや、この質問は失礼だったな。忘れてくれ」 京太郎「……そんなに気にしないでくださいよ。俺は、大丈夫っすから」 京太郎「それに、約束しましたから」 京太郎「『またな』って」 ―――― 京太郎「…………」 京太郎(はぁ、口では強がりを言っておきながら結構くるな……) 京太郎「外の風にでも当たるか……」 【神代家・外】 初美「おややー、京太郎じゃないですかー」 京太郎「はっちゃん……」 初美「どうしたんです?しょぼくれた顔をして」 京太郎「そう見えますか」 初美「ええ、はっきりと。おねーさんでよければ話を聞きますよ?」 京太郎「それじゃあ、お願いしましょうか」 初美「……記憶がなくなったですかー」 京太郎「ええ。自分では大丈夫だって思ってたみたいなんすけど」 京太郎「……キツイ、ですね」 京太郎「情けない、また会えるって言ったのは俺なのに」 京太郎「俺が……俺が、こんな弱気でどうする!」 初美「いいじゃないですか、別に」 初美「弱気で何が悪いんです?というか、京太郎に言いましたよね? 何かあったら私に話してもいいって」 初美「愚痴でも何でもどんとこいなのですよー」 京太郎「……でも」 初美「いいですか」ズイッ 京太郎「ちょ、近いですって!」 初美「これぐらいはしないと、京太郎はわからないからいいのです。 全く、手がかかる人ですよー」 初美「泣きたい時は泣いていいんです」ダキッ 初美「というか、泣きたい時に泣かなくていつ泣くんですかー!」 初美「胸ならいつでも貸しますから、ね?」 京太郎「すいません、ちょっと借ります……!」 京太郎「……っ、ぁぁ……!」 初美「よしよし、私がいますから。京太郎は一人じゃないですからー」 京太郎「……すんません」 初美「えいっ」ペシッ 京太郎「あいたーーっ!」 初美「そういうのはいいっこなしです。謝られるためにやった訳じゃないんですよ?」 京太郎「それでも、めっちゃ泣いちまったんで服とか身体とか汚しちゃったんで……」 初美「服は洗えばいいです。身体はお風呂に入ればいいです。はい、論破ですよー」 京太郎「……はぁ、ほんと世話になりっぱなしっすよ」 初美「いいってことですよー。」ナデナデ 京太郎「ちょ、いつまでも撫でなくていいですって!」 初美「えー」 京太郎「恥ずかしいんすよ……こういうのって」 初美「木にしたら負けですよー。なでなで~」 京太郎「ああ、もう!勝手にしてください!」 京太郎「……とりあえず、働こう」 京太郎(つーか、いつまでここで働くんだ、俺……?) 小蒔父「や、京太郎君」 京太郎「あ、どうも」 小蒔父「ここでの生活も慣れてきたようで何よりだよ」 京太郎「ですね。そういえば、俺って……後どれくらいここで働くんですか?」 小蒔父「そうだな……後、10日間ぐらいかな?」 小蒔父「知っての通り、小蒔達は麻雀の全国大会に出場する」 京太郎「ええ、そうみたいですね」 小蒔父「その間は仕事も何もないし、ぶっちゃけると凄く暇な訳だ」 小蒔父「つまり、お役御免。働かなくてもいいってこと」 京太郎「そうっすか……」 小蒔父「まだ若いのに一日中働かせるなんて申し訳ないからね。小蒔達はともかく、君はやりたいことがあるだろうに」 京太郎「いえ、そんな!ここに来て俺は色々と勉強になりましたし!」 京太郎「楽しかったです……小蒔さん達とも仲良くなれましたし」 小蒔父「それはよかった……もし、気が合わないとかなったらどうしようかって私も考えていたんだが……」 小蒔父「……その必要はなさそうだ。ありがとう、京太郎君」 小蒔父「君のおかげだ。私達の閉鎖的な環境を、君が変えてくれたんだ」 小蒔父「本当に、ありがとう……っ」 京太郎「や、頭を上げてください!俺は大したことをしてないですよ!」 小蒔父「そんなことはないさ。これでもね、感謝してるんだよ」 小蒔父「……な?京太郎君。意中の女は見つかったかな?」 京太郎「え、ええっ!?」 小蒔父「……隠さずともいい。どーんと、私に言ってみなさい」 京太郎「え、ええっと……」 京太郎(俺が好きな人……) 京太郎(誰、何だ?そもそもいるのか?) 京太郎(どうも自分自身についてはわっかんねーな……) 京太郎(いるかも、しれないな) 京太郎(ここに至るまで、恋なんてしたことなかったけど) 京太郎(なんつーか、心が暖かくなるっていうか) 京太郎(まだ、誰かまでは考えつかないとはいえ) 京太郎(好きな、人かぁ……) 小蒔父「その顔はいるかもしれない、でも断定はできないといった風だね」 京太郎「よくわかりますね」 小蒔父「これでも人をよく見ているからね。観察眼なら誰にも負けないさ」 京太郎「はははっ、なんすか……それ」 小蒔父「それはともかくだ……告白するんなら早くした方がいいんじゃないか?」 小蒔父「女の子を待たせちゃいけないよ、うん」 京太郎「はい。すぐには決められませんけど……」 小蒔父「それで、いいさ。とりあえず、じっくり考えてみなさい」タッタッタッ 京太郎「うーん、行ってしまった……珍しく、真面目だったな」 京太郎(好きな人なぁ……) 小蒔父「時間はあまり、残されていないぞ……」 小蒔父「特に、君にとっては――――」 京太郎(ぐぬぬ……好きな人、好きな人。考えても全くイメージが湧かない) 京太郎「がーーーーーー!誰なんだよおおおおおおおお!!!!!」 京太郎「考えてわかったら苦労しねーよ!ざっけんな!くっそ!」 霞「……どうしたのかしら」 京太郎「あ、どもっす」 霞「何があったかは知らないけれど、凄く変な人って思われるわよ?」 京太郎「今更ですよ」 霞「そうね」 京太郎「肯定しないでくださいよ!?」 霞「そうね」 京太郎「……投げやりになっていません?」 霞「そうね」 京太郎「霞さんは可愛いなあ!」 霞「!?!?!?!?!?!?!?!?!」 霞「か、かかか、かわ、かわ」 京太郎「何、あわあわしているんですか……」 霞「だって、仕方ないじゃない!そういうこと言われたら、その……」 霞(言えないわ……嬉しすぎて舞い上がってるなんて) 霞(京君よりもお姉さんなんだから!) 霞「……こほん。それで、どうしたのかしら?」 京太郎「修正が無理矢理過ぎません?」 霞「……ふふ」ニッコリ 京太郎「何でもないです、聞かなかったことにします」 霞「それで、さっきは何を騒いでたの?」 京太郎「ああ。それはですね……」 京太郎(どうせだから霞さんに相談しよう。霞さんなら一歩引いた所から見てくれると思うし) 京太郎(仲のいい先輩らしい冷静かつ、優しさのある提案をしてくれる!) 説明中です、しばらくお待ちください。 霞「そ、そう。好きな人ね」 京太郎「ええ、そうなんですよ。でも、恋ってよくわからなくて……」 京太郎「霞さんなら助けてくれるかなーって」 霞「…………」 霞(どうするの、私!ここで真面目に相談に乗るの!?) 霞(もしかすると、敵に塩を送ることになるのよ!) 霞(こ、恋は戦争……!ここは、誘導しないと……) 京太郎がキラキラとした視線で霞さんを見ています 霞(……無理、無理よぉ。そんな目で見ないで!) 京太郎「なるほど、一人で考えるのではなく皆のことをもっと見てみる、と」 京太郎「確かに一人で悩むよりはいいかもしれませんね」 京太郎「ありがとうございます!やっぱり霞さんは頼りになりますね」 霞「ええ……」ズーン 霞(結局、真面目に相談に乗ってしまった……あ、アプローチがたりなかったとでもいうの……) 霞(そうよね、一時期全くと言っていいほど話してなかったものね) 霞(そ、それを言ったら私だけじゃないはずよ!) 京太郎「ど、どうかしました!?何か、顔色が悪いような」 霞「そんなことないわよ……ええ、そんなことないわ!」 京太郎「なら。いいんですけど……」 霞(ま、まだ諦めないわよ!私達が全国大会に行くまで時間はあるわ!) 霞(絶対振り向かせるから……京君) 京太郎「皆のことをよく見てみるかぁ」 京太郎(いや、ね?一緒に暮らしていて見ているとこは見ているけどさ) 京太郎(今更はちょっと気恥ずかしいっていうか) 京太郎(それに、俺ってもう――)ズキン 京太郎(――何だっけ?今何かを考えようとしたけど……) 京太郎(ま、大したことじゃないだろ) 京太郎「げぇ、はっちゃん!」 初美「げぇっ、とはなんですかー」プンスカ 京太郎「だって、はっちゃんは俺のオカズとるじゃないですか だから、食卓を一緒に囲むと疲れるんですよ」 初美「オカズ……卑猥ですよ-!」 京太郎「そう考える頭の方が卑猥だと思うんですが」 初美「むむむ」 京太郎「むむむじゃないですよ、全く……」 初美「それはともかくとして!」 京太郎「全然ともかくじゃないですけどね」 初美「一緒に御飯を食べるのですよ-」 京太郎「……俺のオカズ、とらないでくださいよ?」 初美「取りませんよー、取ったら私を好きにしても構いませんよ!」 京太郎「いりません、もっと肉体的に育ってから出直してください」キッパリ 京太郎(そういえば、俺……はっちゃんに告白されたっけ) 京太郎(一回断った訳だが、どうなるんだ?) 京太郎(まだ、俺のことを好きでいるのか?) 京太郎(そのことを俺から――聞ける訳ねーーーだろ!!!) 京太郎(それはデリカシーってもんが無さすぎ!) 初美「ん??」 京太郎(この、無邪気な笑み……ロリコンだったら一撃必殺なんだけどなぁ) 京太郎(いかんいかん!) 京太郎(ロリコンじゃないんだぞ、俺!?何馬鹿なこと考えてるんだ!!) 初美「…………ヘタレ」ボソッ 京太郎「誰がヘタレですか、誰が!」グニグニグニー 初美「いひゃい、いひゃいですよーー!ほっぺが取れますーーー!」 京太郎「変なことを言うからです」 初美「年長者ですよー、私……」 京太郎「年長者の気分が……いえ、何でもないです」 初美「ううううう!!京太郎はいじわるばっかりですよーー!」 初美「私が成長した時に後悔しても遅いんですからねーーーっだ!」 京太郎「はいはい。いい子いい子」ナデナデ 初美「えへへ……って!ごまかさないでください!」 京太郎「ごまかしたつもりはないんですけどねぇ……」 初美「でも、そのナデナデは気持ちいいので継続してください」 京太郎「…………えー」 京太郎「そういえば、はっちゃん」 初美「はい?」 京太郎「なんて言いますか、最近どうも変な夢をみるんですよ」 初美「それは大変ですね-、私が添い寝を」 京太郎「いらないです」 初美「……」ションボリ 京太郎「はいはい、俺のオカズ一個あげるんで泣かないでくださいね~」 初美「わーーーい!さすが京太郎ですよー!」 京太郎(単純だなあ……) 初美「それで、夢見が悪い京太郎は何を聞きたいんですかー」 京太郎「……うーん」 京太郎「何か、小蒔さん達が死ぬ夢をですね」 初美「縁起が悪いにも程がありますよーーー!?」 京太郎「夢にしてははっきりしすぎて……それで、相談した訳です」 初美「悪趣味ですねー……それで、死に方はどうなんです?」 京太郎「その辺りはぼんやりとしていて……ともかく、正夢になったらどうしようかって」 初美「ふんふむー。ぶっちゃけ、そういうことは私より巴や霞、姫様のお父上の方が詳しいですよー」 初美「私はなんちゃって巫女みたいなものですからー」 京太郎「服装からして、そうですもんね…あ、はいすいません、謝るんで服を脱ぐのはやめてください」 初美「人を露出癖があるみたいに言わないでください……ともかく、私達から目を離さなければいいと思いますよ?」 京太郎「それしか、ありませんか……」 初美「放ってたら、消えているかもしれませんよー、怖いです-」 京太郎「抱きつかないでください!もう、はっちゃんは真面目な時は真面目なのに……」 京太郎(消えてしまう、か……怖いな、それって) 京太郎「そういえば、はっちゃん」 初美「はい?」 京太郎「はっちゃんってはっちゃんなのか?」 初美「……頭がおかしくなったんですかー」 京太郎「…………あれ?いや、なんつーか」 京太郎「ふと、思ったっていうか……自分でもよくわかんないっす」 初美「良くもわからないのに尋ねないでくださいー。それよりも」 初美「午後は誰と一緒にお仕事なんですかー」 初美「それとも用事があったりってやつなんです?」 京太郎「小蒔さんと夕飯の買い物に行く予定です」 初美「へー、ほー」 京太郎「なんですか、その目は……」 初美「べっつになんでもありませんよー」 初美「デートなんですかー、羨ましい身分ですね-」プックリ 京太郎「そんな、ふくれっ面にならないでくださいよ」 初美「だっておかしいじゃないですかー、こんなにも可愛い私をデートに誘わないなんて!」 京太郎「腹パン」 初美「ひっ!」 京太郎「……冗談です」 初美「冗談にしては笑えませんよ-!?」 京太郎「いやいや、俺が女性に暴力を振るうなんてありえませんよ」 初美「そうですねー(棒)」 京太郎「俺って純情少年でキャラが通ってますから」 初美「……へー」 京太郎「なんですか、その意味ありげな視線は!」 初美「……鈍感ですー」ボソッ 京太郎「は?」 初美「いいですよー!勝手に姫様とイチャイチャしてきてくださいー!」 初美「京太郎のお菓子は全部食べちゃいますからね-だっ!」 京太郎「…………何なんだ、一体」